電動ちりとり、消毒委託…コロナで変わる学校清掃

ほこりが舞い上がらないようにモップで掃除する児童ら=2日午後、奈良市の奈良学園小学校(須谷友郁撮影)
ほこりが舞い上がらないようにモップで掃除する児童ら=2日午後、奈良市の奈良学園小学校(須谷友郁撮影)

オンライン授業や給食時の黙食などウィズコロナの仕様に変容を遂げてきた学校現場で、今度は清掃活動に変化が生じている。ほこりが舞わないよう、ほうきとちりとりのペアからモップがけに転換したり、外部委託を導入したりするケースも。一方で、昨年来の消毒至上主義から従来型の手洗い徹底へ回帰する動きもあり、コロナ時代の学校清掃のあり方をめぐり、各校で模索が続いている。

清掃用具を一新

今月2日、奈良市の私立奈良学園小学校3年B組の教室。6限目の授業が終わり、掃除の時間が始まると、児童2人が手際よく床にモップをかけ、絡め取ったごみやほこりを、電動吸引の最新式のちりとりで吸い取っていた。別の児童は中性洗剤を吹きかけた雑巾で机やいすを黙々と拭き、清掃は10分ほどで終了した。

同校の梅田真寿美(ますみ)校長によると、これまではほうきとちりとりでごみを集め、床を雑巾がけしていた。しかし、ほうきを使うと、ほこりやアレルギーの原因となるハウスダストが舞いやすく、また床に顔を近づけて雑巾がけをすることも不衛生と考え、今月から清掃用具を一新。「ウィズコロナで新しい方法に変えようと思った」と話す。

小学3年の亀谷朱那(しゅうな)さん(9)は「前よりも教室がきれい。モップで見えないほこりや菌も掃除できている」と満足げだ。

「特別な消毒作業は基本的に不要」。文部科学省は昨年8月、学校の衛生管理マニュアルを改訂し、新型コロナウイルス感染拡大の初期に見られたような、過度な消毒は必要ないとの見解を示した。

背景には、感染対策に追われ続ける学校現場の疲弊がある。「昨年の一斉休校後に学校が再開してからは教員が清掃も担当し、毎日至るところを消毒していたが、かなりの負担だった」と、大阪市立の大規模小学校の校長が明かす。

物の消毒は、結局いくらやってもきりがない。現在はドアノブやスイッチなどの共有物に消毒の対象を絞り、使う側の児童に、手洗いを徹底させるやり方に切り替えた。

別の大阪市立小でも教員が放課後、児童の机の消毒をしていたが、「負担が増えすぎた」(教頭)ため2学期からは取りやめ、児童に手洗いを奨励している。

この分野で外部人材を活用する動きも出ている。福岡市教育委員会では昨年、消毒業務などを補助する外部スタッフを募集。1年間限定で、ほぼすべての市立学校に1人ずつ配置した。名古屋市も同様に、外部スタッフを市立学校約400校に置いている。

福岡市教委の担当者は「モップ購入など独自の対策を行う学校もあったが、予算の問題もあり、全部の学校で用具一新を図るのは難しい」と説明。「地道にしっかりと清掃し、その後の手洗いを徹底することが、感染対策につながる」と強調した。

負担軽減の必要

文科省によると、そもそも学校清掃は教育課程には位置づけられておらず、小学校の学習指導要領では、日直や動物の飼育などと並んで、人間性や社会性を育成する活動の一事例として示されているにすぎない。

学校現場では「清掃は教育の一環」とする考えが普及しているが、教育行政に詳しい教育研究家の妹尾(せのお)昌俊さんは「必ずしも児童生徒や教職員がやらないといけない、と定められてはない」と指摘。その上で「コロナ禍で教職員の業務量や児童生徒の心理的な負担は増している。学校清掃に自治体はあまり予算をかけてこなかったが、負担を軽減するような対策を考えるべきだ。コロナは学校清掃のあり方を考え直すきっかけになるのではないか」と話した。(前原彩希、田中一毅)