広島市に残る最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠」4棟のうち、国保有の1棟の強度調査が始まり、中国財務局が9日、作業状況を報道陣に公開した。保存するかどうかは決まっておらず、周辺住民の安全確保の観点からの調査としている。本年度中に結果をまとめ、必要な対策を検討する。
広島県が保有している3棟は既に調査を終えており、内部見学が可能なレベルの安全対策を施すため2023年度から耐震工事を始める方針。
強度調査は4日に始まった。この日は、れんが造りの壁の一部を外し、作業員が内部から圧力を加えていた。中国財務局によると、県の調査とほぼ同じ内容で、建物の耐震性も診断する。
被服支廠は太平洋戦争の終わりまで軍服などを製造、保管していた施設で、爆心地から約2・7キロに位置する。