北川信行の蹴球ノート

4チーム降格の熾烈な残留争い 残り3試合生き残るのは

G大阪との打ち合いに敗れ、肩を落とす大分イレブン=昭和電ドーム
G大阪との打ち合いに敗れ、肩を落とす大分イレブン=昭和電ドーム

最終盤を迎えた今季の明治安田生命J1リーグは、川崎の2連覇が決まる一方で、生き残りを懸けた熾烈(しれつ)な残留争いが繰り広げられている。新型コロナウイルス禍による日程変更に伴い、昨季を「J2からの昇格は2チーム、降格はなし」とした影響で、今季は20チーム中4チームがJ2に自動降格する厳しいレギュレーション。各チームとも3試合を残した第35節終了時点で、降格の可能性があるのは、15位湘南、16位清水、17位徳島、18位大分、19位仙台、20位横浜FC(記録はすべて11月8日現在)。湘南の勝ち点は33、横浜FCは同27。勝ち点6差以内にひしめく6チームのうち、サバイバルレースを勝ち抜くのはどこになるのか、注目される。

G大阪と柏が残留決定

大分戦の前半、同点ゴールを決め、松波監督(左)とタッチを交わすG大阪・パトリック=昭和電ドーム
大分戦の前半、同点ゴールを決め、松波監督(左)とタッチを交わすG大阪・パトリック=昭和電ドーム

7日に昭和電工ドーム大分で行われた第35節の大分-G大阪は壮絶な打ち合いとなった。勝てば残留が決まるG大阪と、降格圏脱出に近づく大分。ともに是が非でも勝ち点3がほしい試合は、大分がリードする度にG大阪が追いつき、最後はG大阪のパトリックが後半39分にハットトリック達成となる決勝点をPKで挙げ、接戦に決着をつけた。

苦しみながらも残留を達成したG大阪の松波正信監督は「今季途中から少し目標を変更した中で、それを達成できたというところでは、選手たちはよくやってくれたと思う」と安堵(あんど)の表情。痛い逆転負けとなった大分の片野坂知宏監督は「残留を目標にしている中で、ホーム試合は絶対に勝たなくてはならなかった。結果が出ず、自分も選手も悔しい」と残念がった。

神戸に敗れ、肩を落とす徳島イレブン=ノエスタ
神戸に敗れ、肩を落とす徳島イレブン=ノエスタ

6日にノエビアスタジアム神戸で行われた同節の神戸-徳島は、勝てば降格圏を脱する可能性があった徳島がアグレッシブに戦ったが、タレントぞろいの神戸に0-1で屈した。決定機を決めきれず、徳島のダニエル・ポヤトス監督は「多くの面で神戸を上回れたと感じているが、一言で言えば残念」と悔しがった。

第35節では、湘南、清水、仙台、横浜FCはいずれも引き分け。13位のG大阪と14位の柏が勝って残留を決めた一方で、15位以下のチームは引き分けか負けと足踏みし、混戦から抜け出せなかった。

直接対決の大一番も3試合

広島戦の後半、ゴール前で激しく競り合う湘南・ウェリントン(9)と広島・今津(33)ら=レモンS
広島戦の後半、ゴール前で激しく競り合う湘南・ウェリントン(9)と広島・今津(33)ら=レモンS

ここで、残留争いを繰り広げている6チームの成績をおさらいする。

15位湘南(勝ち点33=6勝15分け14敗=得失点差-6=直近5試合の成績●△〇△△)

16位清水(勝ち点33=7勝12分け16敗=得失点差-20=直近5試合の成績〇●●●△)

17位徳島(勝ち点30=8勝6分け21敗=得失点差-22=直近5試合の成績〇●△●●)

18位大分(勝ち点28=7勝7分け21敗=得失点差-27=直近5試合の成績〇〇△●●)

19位仙台(勝ち点27=5勝12分け18敗=得失点差-28=直近5試合の成績△●〇●△)

20位横浜FC(勝ち点27=6勝9分け20敗=得失点差-40=直近5試合の成績〇〇●△△)

いずれも下位のチームのため、数字が悪いのは当然だが、注目すべきは直近5試合の成績。9月に山口智監督が就任した15位の湘南が4試合負けなしで一歩リードしているのが分かる。得失点差で他の5チームと10ポイント以上差があるのも好材料だ。最下位の横浜FCも2勝2分け1敗と、調子は悪くない。11月4日に監督交代に踏み切ったばかりの清水は連敗を3で止めて一息ついた。逆に徳島と大分は2連敗中。なんとか切り替えたいところだ。

福岡と引き分け、サポーターにあいさつする横浜FCイレブン=ベススタ
福岡と引き分け、サポーターにあいさつする横浜FCイレブン=ベススタ

次に、各チームの残り3試合の対戦カードをみてみる。

湘南(※仙台A、※徳島H、G大阪A)

清水(広島H、浦和A、C大阪H)

徳島(FC東京A、※湘南A、広島H)

大分(鹿島A、※横浜FCH、柏A)

仙台(※湘南H、福岡A、鹿島H)

横浜FC(神戸H、※大分A、札幌H)

Hはホーム、Aはアウェー、※印は直接対決。

サポーターの応援が期待できる有利なホーム試合を2試合残しているのは、清水、仙台、横浜FC。勝ちと負けで残留の可能性に大きな開きができる「6ポイントマッチ」ともいうべき直接対決は仙台-湘南、湘南-徳島、大分-横浜FCの3試合が残っている。順位上は有利な位置にいる湘南だが、直接対決2試合の結果によっては苦しい状況に立たされる。逆に降格圏の仙台と徳島にとっては、勝てば逆転残留を決める可能性が一気に高まる大一番だ。

札幌戦で指示を出す清水・平岡監督(右)=アイスタ
札幌戦で指示を出す清水・平岡監督(右)=アイスタ

さらに考慮に入れるべきなのは、対戦相手のモチベーション。残留争いのチームが士気が高いのは当然だが、他にも戦意を高めているチームがある。その一つが、3位以内に与えられる来季のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権をめぐる争い。現在、3位神戸、4位鹿島、5位名古屋、6位浦和の4チームが残る1枠(3位)を目指して戦っている。これらのチームにとっても、負けられない戦いが続いている。清水、大分、仙台、横浜FCはこれらのチームと1試合ずつ対戦が残っている。その勝敗も残留争いに影響を及ぼしそうだ。