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「安倍・菅・岸田」審判の行方 論説副委員長・榊原智

自民党が議席を減らしながらも絶対安定多数を確保した衆院選。党本部では岸田文雄首相(右)が当選を確実にした候補にバラをつけたが、隣の甘利明幹事長は選挙区では敗北。辞任することに=10月31日、東京・永田町(矢島康弘撮影)
自民党が議席を減らしながらも絶対安定多数を確保した衆院選。党本部では岸田文雄首相(右)が当選を確実にした候補にバラをつけたが、隣の甘利明幹事長は選挙区では敗北。辞任することに=10月31日、東京・永田町(矢島康弘撮影)

衆院選をめぐる朝日新聞や毎日新聞の紙面にいささか疑問がわいたので指摘したい。

朝日は、解散を報じる10月15日付朝刊1面トップ記事の主見出しで「岸田・菅・安倍政権の4年 問う」と掲げた。同日付の社説は「『安倍・菅』総括の時」との小見出しをとった。衆院選公示を報じる同20日付朝刊1面トップ記事の見出しは「岸田・菅・安倍政権に審判」だった。

毎日も負けてはいない。同10日付社説で「『安倍・菅』9年の審判」との小見出しをとった。公示日の同19日付の社説は「新政権の信任を問うだけでなく、9年に及んだ『安倍・菅政治』に審判を下す場となる」と説いた。22日付社説は「今回の選挙は、安倍政権からの9年間への審判だ」と断じた。

同20日付朝刊1面トップ記事の見出しは「安倍・菅・岸田政権に審判」で、同31日付朝刊1面トップの見出しは「安倍・菅・岸田政権に審判」だった。

朝日、毎日両紙は、衆院選を安倍晋三、菅義偉、岸田文雄各政権が同時に審判される機会だと強く指摘していたことになる。

産経新聞は社説(主張)で衆院選について、岸田政権の信任が問われるとの政権選択の性格を重視していたため問題意識は異なる。

そうであっても、自民が単独で絶対安定多数(261議席)を確保し、公明党も議席を伸ばした衆院選の結果を踏まえ、朝日、毎日両紙が「安倍・菅・岸田政権の審判」がどうなったかを、どのように伝えるか興味があった。

だが、それに正面から答える社説や記事は今のところ見当たらない。毎日は11月1日付社説で「安倍・菅政治と決別必要」との小見出しを付け、「業者への口利き疑惑を抱える甘利(明)氏が小選挙区で敗れたのは(中略)有権者の不信を象徴している」とは指摘した。ただし、これだけでは「安倍・菅・岸田政権への審判」がどうだったかを論じたとはとても言えない。

両紙は、もし与党が衆院選で敗北すれば、鬼の首をとったように「安倍・菅・岸田政権は信任されなかった」「否定された」と論じていたのではないか。

期待とは逆の結果になって混乱しているのかもしれない。そうだとしても、天下に向けて発した問題設定だ。答えを示さなければ信頼が損なわれると人ごとながら心配になる。