政府は9日、経済政策の基本方針を議論する「経済財政諮問会議」(議長=岸田文雄首相)を開き、追加経済対策と令和4年度予算案の編成に向けた議論を開始した。岸田政権下では初めての開催で、民間議員は成長と分配の好循環を実現するため短期中期の経済財政運営のかじ取りを担うのが諮問会議の使命だと強調した。ただ、政権公約を実現するための会議体は林立しており、諮問会議は再び存在感が低下しかねない。
十倉雅和経団連会長ら4人の民間議員は会議で、2年度から繰り越された約30兆円の予算が消化されることで今後は財政支出の縮小が見込まれると指摘し、十分な規模の経済対策を要請した。また、中期的には構造改革や投資促進税制の強化で民間投資や生産性向上を後押しするよう求めた。
首相は「経済対策は、新しい資本主義を起動させ、成長と分配の好循環を拡大していくために十分な内容と規模にする」と指摘。民間議員らに「今後とも(経済政策の)議論を先導していただきたい」と求めた。
とはいえ、岸田政権発足に伴い経済政策の〝司令塔〟であるはずの諮問会議の立ち位置は揺らいでいる。首相が議長を務める肝煎りの「新しい資本主義実現会議」が発足して、政策立案の主導権を握ったからだ。