パリの窓

コロナ時代、悩ましい「あいさつのキス」

パリのシャンゼリゼ通りでキスをするカップル =9月19日(AP)
パリのシャンゼリゼ通りでキスをするカップル =9月19日(AP)

新型コロナウイルス流行が続くものの、パリは屋外ならマスクなしで自由に歩けるようになった。悩ましいのは、「あいさつのキス」復活の是非。若者同士では、フランス流に頰にチュッとやり始めた。さて、中高年はどうするか。

友人の50代女性と話していると、「実は、前から嫌だった。今後、キスは息子だけにする」という。彼女だけでなく、コロナを機に「職場では廃止に」という話はけっこう聞く。

確かに、このフランス流あいさつは、男女とも桃のようにみずみずしい頰のうちはよいけれど、タバコや加齢臭、硬いヒゲやら厚化粧やら、徐々に耐えねばならないものが増える。さほど親しくない人とやるのは正直、苦行である。下火になるのをひそかに喜んでいる人は多い。私もその一人。

最近は握手の自粛も進み、取材先でのあいさつも難しくなった。初対面で拳や肘を合わせるのは、ちょっとなれなれしい。日本流の軽い会釈は、ちょっと物足りない感じ。

そこで最近、始めたのが「ナマステ式」。インド流に胸の前で合掌するあいさつで、マクロン大統領が国際会議でやっているのを見てまねをした。恭しい感じが出るか、と思った次第。

「社会的距離」がマナーとなり、あいさつも親しさの度合いで使い分けが必要になった。少々、悩ましい。(三井美奈)