シノギ獲得「脅し」から「だまし」に 暴排条例10年

全国の暴力団構成員数の推移
全国の暴力団構成員数の推移

暴力団組員への利益供与などを規制する「暴力団排除条例(暴排条例)」が47都道府県にそろってから、今年で10年となった。施行後は暴力団排除に向けた機運が高まり、確認される暴力団構成員数は着実に減少した。一方で、近年は「シノギ」と呼ばれる資金源の獲得方法に変化が生じて活動実態が見えづらくなっているといい、「規制のあり方を見直す必要がある」との声も上がる。

暴排条例は平成21年7月に佐賀県で施行されたのを皮切りに、全国へ拡大。23年10月には東京都や沖縄県で施行され、47都道府県にそろった。

暴力団対策法が暴力団員を取り締まる法律であるのに対し、暴排条例は一般市民が暴力団員と関係を持たないようにするためのものだ。事業者らが暴力団に金品や施設の提供といった利益供与を行うことが禁止され、飲食店が支払う「みかじめ料」や暴力団と関係のある企業に対する公共事業の入札なども含まれる。

条例施行で収入が減って足を洗う暴力団員が少なからずいるとみられ、警察庁が把握する全国の暴力団構成員数(準構成員含む)は、23年に約7万300人だったのが、令和2年には約2万5900人と3分の1近くまで減少した。

ただ、実態はこれより多いとの見方もある。捜査関係者によると、従来は暴力団であることを示して飲食店などにみかじめ料を支払わせるなどして資金を獲得していたが、現在は暴力団の身分を隠して詐欺などに手を染めるケースが増えているという。「従来のやり方では稼げなくなっている。やり口が『脅し』から『だまし』に変わってきている」と捜査関係者。このため、暴力団の活動実態の把握が難しくなっているのが現状だ。

日弁連・民事介入暴力対策委員会元委員長の木村圭二郎弁護士(大阪弁護士会)は暴排条例について「『社会』対『暴力団』という構図を明確にし、暴力団排除の認識が当たり前になった」と評価。一方で、「条例で規制できることには限りがある。反社会的勢力の撲滅に向けて暴対法の改正など議論を進めるべきではないか」と指摘した。