京人

見た目だけでなく心まで笑顔に 松本知美さん(37)

福祉ネイリストとして活動する松本さん=京都市左京区
福祉ネイリストとして活動する松本さん=京都市左京区

美しく整えられた爪が、ピンクや紫、水色といったマニキュアで染められていくと、指先に明るい雰囲気が漂っていく。

「徐々に相手の方が笑顔になっていくあの瞬間が、何にも代えがたい」と表情をほころばせる。

高齢者らの爪にマニキュアを塗って気分を明るくさせる「福祉ネイリスト」として、昨春に福祉ネイルのボランティア団体を立ち上げてから、京都市内の介護施設を訪問する日々が続く。10月には京都府警下京署と協力して高齢者向けの交通安全イベントでも一役買った。

福祉ネイリストの資格取得は令和元年。府警職員として勤めていた際に上司に誘われたことがきっかけだった。当初は高齢者と関わった経験も少なく、介護の知識もないと断っていたが、「今まで自分のやりたいことをしてきた。今度は人のためになることをしたい」と決断した。

新型コロナウイルス禍で娯楽に使える資金が少ない高齢者施設などが多いことを知り、団体の設立に至った。施設で暮らす高齢者の中には、ふさぎこみ笑顔を見せない人もいるが、ネイルケアをすると変化があるという。「翌日におしゃれをしてきたり、自分から話しかけるようになったりする。そういう様子を見るのがたまらなくうれしい」

ただ、福祉ネイリストの資格取得者は約3千人とまだまだ少なく、資格があっても活動する環境がなく資格を生かせていない人もいる。今後は、資格取得者の増員や地元企業と協力し、福祉施設への訪問拡大を目指すつもりだ。

「手から自分の感情が伝わるからこそ、誰にでも臆せずに接していく」と、持ち前の明るさと人懐っこさで多くの笑顔を生み出してきたネイリストは喜びをかみしめる。

「ネイルケアは見た目だけでなく心まで変えてくれる。高齢者が増える日本で、京都から全国に活動をひろげていきたい」(鈴木文也)

まつもと・ともみ 昭和59年、京都市下京区生まれ。中学時代からサッカーに熱中し、京都学園大(現京都先端科学大)在学中になでしこリーグで副審を務めた実績をもつ。府サッカー協会職員などを経て令和2年4月に福祉ネイルのボランティア団体「ガンチー」を設立。京都市内の福祉施設を訪問し、「手から感情が伝わる」と丁寧な施術を心掛けている。