正論

コロナ禍、高齢者医療を考える 拓殖大学顧問・渡辺利夫

老人ホームの高齢者(本文とは関係ありません)
老人ホームの高齢者(本文とは関係ありません)

超高齢社会を生き抜く中で

私どもは700日になんなんとする長期間にわたり、陰鬱で緊張を強いられるコロナ禍の中での生活を送ってきた。陽性と判定されたものの医療機関へのアクセスがかなわず自宅待機を余儀なくされ、生死を分かつほどの恐怖に身をすくませた人々のことが報じられている。こうまでの長期間にわたり、かくも広い範囲で全国民が死という観念に共通して向き合わされたことはかつてなかったのではないか。戦災や自然災害のような差し迫った眼前の脅威というのではない。もっと漠然としていて、その分だけ振りほどくことが難しい、なにか疼(うず)くような痛みの感覚なのであろう。

渡辺利夫氏
渡辺利夫氏

「失われた30年」。この間に日本はすっかり老(ふ)け込んでしまった。少子化と高齢化はもはやとめどもない。コロナ禍にあって死の観念が人々の心を苛(さいな)んだのは、この社会の著しい高齢化のゆえでもあろう。若い時代にあっては死生観など不要なものであったにちがいないが、私どもはもう若くはないのだ。超高齢社会をまっとうに生き抜くには、それにふさわしい死生観を欠かすことはできない。

そう認識するのであれば、おぞましい「大量死の時代」に入らんとするそのとば口でコロナ禍に見舞われたというのも、なにがしかの救いであったというべきかもしれない。

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