第6波警戒 医療重視の新指標 知事に問われる指導力

新型コロナウイルス感染症対策分科会の会合=8日午前、東京都千代田区
新型コロナウイルス感染症対策分科会の会合=8日午前、東京都千代田区

新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言が9月30日をもって全面解除されてから1カ月余が経過した。政府は、年末に向けて社会経済活動の活発化が予想されることを踏まえ、「第6波」の到来を警戒。専門家は病床の逼迫(ひっぱく)状況を重視した新たな指標を策定した。ただ、従来のような明確な数値基準はなく、感染評価と対策を委ねられた各都道府県知事の判断や指導力が問われそうだ。

後藤茂之厚生労働相は8日の新型コロナ対策分科会(尾身茂会長)の会合で「全国の新規感染者は昨年の夏以降で最も低い水準だ。一方多くの地域では夜間の滞留人口の増加が続き、患者数の減少速度の鈍化や下げ止まりも懸念されている」と語った。

年末に向けて忘年会やクリスマスなど人が集まる機会は増え、冬は換気をあまりしなくなる。政府は感染再拡大の阻止に向け警戒を強めている。

ただ、ワクチン接種が進み、年内の経口薬(飲み薬)の実用化が視野に入る中、新規感染者数が増加しても、重症化を抑制できる環境が整ってきたのは間違いない。コロナへの新たな向き合い方が問われる局面に突入したといえる。

指標の見直しを行ったのはこのためで、人口10万人当たりの1週間の新規感染者数を指標から外した。新規感染者数と医療逼迫との関係が都道府県によって異なり、新規感染者数の基準を全国一律に設定するのは困難という事情もあった。

尾身氏は記者会見で「新規感染者数は注視する」としながらも、今夏の第5波で起きた「自宅療養中に亡くなる状況を繰り返さないのが新しい分類の最も大きな哲学だ」と強調した。

ただ、分科会では地方自治体側から新規感染者数の指標について「これがないと対策が遅れてしまう」と懸念する声が上がった。レベル分類と必要な対策は各都道府県が行うとしており、従来以上に知事の政策判断が問われる。それだけにこの指標がなくなることに抵抗があったようだ。

これに対し、尾身氏は会見で「各地域の医療の実態を誰よりも知っているのは都道府県だ」と強調し、知事のリーダーシップを求めた。このほか、コロナ病床を確保するために一般医療を制限することの是非も議論になった。尾身氏は「制限をどこまでやるのが倫理的に妥当なのか、そろそろ議論する必要がある」と語った。(坂井広志)