新顔野菜「かわいい」カリフローレ

カリフローレを収穫する生産者の伊藤宏さん。小花を束ねたブーケのようにも見える=2日、東京都八王子市(酒巻俊介撮影)
カリフローレを収穫する生産者の伊藤宏さん。小花を束ねたブーケのようにも見える=2日、東京都八王子市(酒巻俊介撮影)

「見た目がかわいい」と評判を呼ぶ新顔の野菜がある。その名も「カリフローレ」。鮮やかな緑の軸の先には白いつぼみがふくらみ、見た目はさながら花束のよう。カリフラワーの一種だが、一般のカリフラワーとは違う特徴も持つ。どう食べるのか、どこで買えるのか…。気になるカリフローレの正体を生産者に聞いてみた。

カリフローレの栽培時期は春から秋。しかし、昨年から生産を始めたという「中西ファーム」(東京都八王子市)の伊藤宏さん(34)は、「涼しい中で育った秋のものの方が味が濃くておいしい」と語る。

11月に入り収穫期を迎えた畑を訪れると、緑色の大きな葉にくるまれるようにして、カリフローレの花蕾(からい)(つぼみの集まり)が白くふっくらと育っていた。

遠目で見ると、大きさはカリフラワーと同程度で、差もあまり分からない。しかし、さらに近づいてみると、カリフローレのつぼみは小さな塊の下から軸が長く伸び、一つ一つがばらけている。花蕾が丸くドーム状に固まっている一般的なカリフラワーとは大きく違う。出荷に向け、軸ごと長く刈り取られたカリフローレは、まるで小花を束ねたブーケのように映った。

軸までやわらか

軸が硬く短い一般的なカリフラワーとは異なり、カリフローレは軸がやわらかく筋も少ない。生でも軸ごと、「パリッとした食感を楽しめる」(伊藤さん)というのが魅力の一つだ。収穫したてを口にすると、まず鮮やかな香りとほろ苦さが広がり、つぼみのやさしい甘みが後を引いた。

カリフローレは種苗大手「トキタ種苗」(埼玉県)がカリフラワーを品種改良して誕生。約10年前から各地で生産されるようになった。伊藤さんによると、土によって味が変わることはなく、根菜類などに比べても育てるのに手がかからないという。

小瓶に詰めてピクルスに。つぼみが小さく愛らしい
小瓶に詰めてピクルスに。つぼみが小さく愛らしい

そんな新顔野菜の台頭の陰には、祖となるカリフラワーの盛衰をめぐる物語があった。

カリフラワーが日本の家庭で食べられるようになったのは、昭和30年代ごろから。最盛期には年間10万トン以上が生産されていたという。しかし、昭和50年代ごろからより安価で味のいいブロッコリーが普及すると、それに押されるようにしてカリフラワーの消費は落ち込んだ。令和2年産の出荷量(農林水産省調べ)を見ると、ブロッコリーが約15万8千トン出荷されたのに対し、カリフラワーは約9分の1の1万8千トン程度だ。

そんなカリフラワーの逆境に今、カリフローレが新しい風を吹き込もうとしている。軸までやわらかく、調理しやすいことから消費が広がっており、伊藤さんは「一周回ってカリフラワーの時代が来たのではないか」と話す。

とはいえ、まだまだ調理法に迷うという声もある。伊藤さんがすすめるのは、軸の食感が残る程度に短時間ゆでるというもの。生とは違って青臭さが抜け、甘みが際立つという。さらに、ピクルス(酢漬け)にしてもおいしい。

最も推すのは、素揚げや天ぷらだ。「アブラナ科の野菜は不思議と油と合うんです」(伊藤さん)

食べやすさから今や直売会では人気野菜に。「どんな食べ方でも合う。珍しい見た目だが手に取ってほしい」。畑で収穫を待つカリフローレを眺めながら、伊藤さんはそう語った。(内田優作)