迫る業務のデジタル化「準備間に合わない」 管理厳格化で紙に逆行の動きも 来年1月法改正

企業の帳簿や書類の電子保存のルールが、来年から大きく変わろうとしている。オフィス業務のデジタル化を目指す制度改正で、デジタル庁も旗艦プロジェクトに位置付けている。業務の効率化やテレワークの普及などにもつながると期待が高まるが、法律や制度の認知度が低いため対応が不十分な企業も多く、専門家からは「準備が間に合わない」などの声も上がっている。

企業の業務を大きく変えるのが令和4年1月に法改正される「電子帳簿保存法(電帳法)」と5年10月から導入される「電子インボイス制度」だ。

電帳法は法改正で手続きが簡略化され、書類の電子保存がしやすくなる。書類での保存を続けてもかまわないが、要件を満たした電子保存を行う企業は、申告漏れに課される過少申告課税の軽減や、所得税の特別控除といった優遇措置が受けられる。

一方でデータ管理が厳格化され、これまでは電子取引のデータを紙に印刷して保存できたものが、電子保存しなければならなくなる。このため、経理システムを手がけるラクスの担当者は「データの管理システムが未整備の企業の中には電子取引をやめ、請求書などを紙でやり取りするよう取引先に依頼しているところもある」と、デジタル化に逆行するような動きも出ているという。

インボイスは品目ごとの消費税率や税額を取引時の請求書に記し、控除を受ける仕組み。8%(軽減税率)と10%の2種類の税率が混在し、控除の手続きが煩雑化していることが導入の背景にある。請求書を電子化してやり取りすることも認められており、デジタル庁は電子インボイスの普及を政策の柱に据える。将来的には企業の見積や発注、請求や納品など、さまざまな書類のやり取りを電子化して、業務を効率化することにつなげる考えだ。

ただ、業務管理システムなどを手がける弥生(東京都千代田区)の調査では、従業員数が30人以下の法人2千社のうち、8割以上の企業がオフィス業務のデジタル化に関する法律や制度の改正ついて「内容がよく分からない」と回答するなど、制度の周知に課題を残している。(高木克聡)