【台北=矢板明夫】中国当局が5日「台湾独立分子」として台湾の蘇貞昌(そ・ていしょう)行政院長(首相)、游錫堃(ゆう・しゃくこん)立法院長(国会議長)、呉釗燮(ご・しょうしょう)外交部長(外相)の3人に対し中国訪問を禁じるなどの制裁措置を発表したことに、台湾では強い反発が起きている。3人は6日までに相次ぎ「圧力に屈さない」などと表明。台湾で対中政策を主管する大陸委員会は「対抗措置を取る」可能性を示唆した。
蘇氏は5日、立法院(国会)の答弁で「台湾のために一生懸命仕事をすることが私の務めだ。脅迫は通用しない」と断言。游氏も同日、フェイスブックで、自身が中国の制裁対象にされたことに対し「これで国際社会における私の知名度は少し上がった。光栄なことだ」と中国側のやり方を皮肉った。呉氏は6日、ツイッターに「中国共産党のブラックリストに登録されるのは良いことだ。引き続き台湾の民主主義と自由のため努力し続ける」と書き込んだ。
一方、大陸委員会は「独裁政権の恫喝(どうかつ)は受け入れない」と中国に反発。「(制裁措置の目的が)台湾の民主主義と自由を破壊し対立と不安を作り出すためなら、われわれは対抗措置を取らなければならない」とのコメントを発表した。
台湾の与党、民主進歩党(民進党)の関係者は「指名された3人はこれから中国を訪れる予定もなければ、中国国内に資産を所有しているわけでもない。制裁は全く無意味だ」とした上で「中国当局はこれから制裁対象を次々と増やしていく可能性もあり、民進党に近い経済人が巻き込まれることを心配している」と語っている。