沖縄選挙イヤー、問われる松野官房長官の手腕

平和祈念公園を訪れた松野博一官房長官=5日午後、沖縄県糸満市
平和祈念公園を訪れた松野博一官房長官=5日午後、沖縄県糸満市

沖縄基地負担軽減担当相を兼任する松野博一官房長官が5日から6日にかけ、就任後初めて訪問した沖縄県は来年、県知事選や米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先である名護市の市長選など基地問題を左右する選挙が相次ぐ選挙イヤーとなる。

10月31日の衆院選では事前の苦戦予想をはね返し県内4選挙区で2勝2敗としたが、政府・与党内には気のゆるみを懸念する声もある。過去には菅義偉前首相が官房長官時代に沖縄対策の中心的な役割を果たしており、松野氏の手腕が問われることになる。

「話題にのぼりませんでした」。松野氏は玉城デニー知事との会談後、県庁内で記者団から来年秋の知事選に関する知事とのやりとりを問われ、こう語った。この日は名護、宜野湾両市長と会談するなど、基地負担軽減に向けた取り組みをアピールしたが、選挙戦に向けた「生臭さ」はうかがわせなかった。

だが、県内では年明けに名護市長選が予定されているほか、来秋には県知事選が控える。普天間飛行場の移設先の名護市辺野古では工事が進むが、軟弱地盤の改良工事など設計変更には知事承認が必要だ。玉城氏を支援する共産党や社民党などでつくる「オール沖縄」は辺野古移設に反対しており、政府も県内の選挙に無関心ではいられない。

衆院選では名護市を抱える沖縄3区で自民候補が勝利した。ただ、4年前は名護市長選で自民推薦候補が勝利して勢いに乗ったかに思われたが、知事選では自民推薦候補が玉城氏に敗れた。来年の知事選でも衆院選の結果に慢心して陣営の動きが鈍る可能性は否定できない。

松野氏はプライベートで沖縄の離島をたびたび訪れるというが、県内ではほぼ無名な存在だ。6日も自民党県連幹部の県議らと懇談する場はもたれなかった。松野氏が沖縄入りしたことを知らない県議もおり、県連幹部の一人は「別に構わない。もともとよく知らない人だし」と語る。

一方、在沖縄米軍基地の整理・縮小に辣腕(らつわん)を振るった菅氏は官房長官時代、沖縄入りするたびに県連幹部と顔を合わせていた。経済界とも接触して要望を聞き取り、重要首長選には積極的に関与した。政府関係者は「給食費無償化など細かいことでも選挙をにらんだ政策に指示を飛ばしていた」と証言する。

松野氏は菅氏について「首相としても官房長官としても大変な実績を残された。大きな目標だ」と述べるが、描く官房長官の理想像は対照的だ。菅氏がトップダウンで案件を処理したのに対し、松野氏は官房長官の役割について「内閣全体が機能的に仕事が進められる環境整備をする」と語る。

来年度末には10年ごとに策定される沖縄振興計画の改定が予定されており、官房長官の差配次第で選挙に大きな影響力を及ぼす。これまでのところ調整型に徹する松野氏に対し、党内からは「踏み込んだ発信にも期待したい」との声も上がっている。(中村昌史、杉本康士)