バイデン米大統領「最速の経済成長」強調 10月雇用統計受け演説 経済の完全正常化に意欲

バイデン米大統領=9月、ワシントン(AP=共同)
バイデン米大統領=9月、ワシントン(AP=共同)

【ワシントン=塩原永久】バイデン米大統領は5日、10月の雇用統計発表を受けて演説し、「主要国で最速の経済成長、雇用創出を成し遂げた」と語った。同統計で就業者数は前月比53万人増と伸びが加速。バイデン氏は、新型コロナウイルスの封じ込めが成果を挙げたと話し、ワクチン接種率をさらに引き上げて経済活動の完全な正常化を急ぐ方針を強調した。

バイデン氏はホワイトハウスでの演説で、「米国経済は活気づいた」と指摘。5日に米労働省が発表した10月の雇用統計(速報、季節調整済み)で、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数が、前月比53万1000人の増加となったことを誇った。

失業率は0・2ポイント改善して4・6%。雇用情勢は、変異株を中心としたコロナ再流行の打撃が出た夏場から、回復の勢いを取り戻した。バイデン氏は「ワクチン接種を済ませた人々が職場に戻り、買い物に繰り出している」と述べ、接種率向上が奏功したとの認識を示した。

ただ、米紙ニューヨーク・タイムズによると、必要な回数のワクチン接種を終えたのは全人口の58%にとどまる。そのため米政府は4日、従業員100人以上の企業に対し、従業員のワクチン完全接種か週1回の検査を義務付ける規則を出した。また、米疾病対策センター(CDC)が2日、5~11歳へのファイザー製コロナワクチンの接種を推奨すると発表していた。

バイデン氏は「経済の完全回復にはワクチン普及を加速させ、感染者数を下げることが必要だ」と指摘。接種の義務付けや子供へのワクチン接種推奨が、経済・社会活動の正常化につながることに期待を示した。

一方、企業への接種義務化については保守層の多い州を中心に反発が強い。米紙によると、連邦政府を提訴したり、提訴を検討したりしている州が、20を超える見通しだという。

ホワイトハウスのジャンピエール大統領副報道官は5日、義務化の措置が各州からの訴訟に対抗できる法的根拠があると「確信している」と話した。

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