【ワシントン=塩原永久】米議会下院は5日、道路や橋の整備に充てる総額1兆ドル(約113兆円)規模のインフラ投資法案を賛成多数で可決した。バイデン大統領の署名を経て成立する見通し。気候変動対策の一環と位置づける電気自動車(EV)充電設備への支出も含まれており、支持率が低迷するバイデン氏には追い風となる。
インフラ投資法案の柱は5000億ドルを超える新規投資で、橋や道路の更新のほか、ブロードバンド(高速大容量)通信網やEV用の充電設備の整備に充てる。
6月に上院で超党派議員が法案の大枠に合意し、8月には上院を通過したが、与党・民主党内の対立で下院での採決が遅れていた。計画発表から約7カ月を経て実現にめどがついた。
インフラ投資法案は、総額1兆7500億ドル規模の大型歳出法案と並び、バイデン氏がまとめた経済成長戦略を法案化したものだ。ただ、民主党の穏健中道派が歳出膨張を懸念し、大型歳出法案の圧縮を主張。これに反発する急進左派が、大型歳出法案を先に可決させなければインフラ投資法案に賛成しないとし、党内の調整が難航していた。
2日に投開票された南部バージニア州の知事選で野党・共和党候補が勝利。来年秋の中間選挙を見据える民主党が危機感を高めたことで、同法案の議会通過に向けてようやく党内の足並みをそろえたとみられる。
民主党指導部は大型歳出法案も月内成立を目指して調整を急ぐ方針だ。