中国では仮想通貨が「終わり」を迎えた 調査結果から見えたマイナーたちの大移動の実態

マイナーたちの大移動先

当初の報道では、マイニングに取り組む起業家たちが数千台のASIC(特定用途向け半導体集積回路)マシンをトラックに積み込み、ほぼ一夜にしてカザフスタンやロシアといった隣国に拠点を移したと報じられていた。CCAFのデータは7月と8月で世界のハッシュレートが20%回復したことを示しており、一部のマイナーたちが他国で活動を再開させた可能性を示唆している。

マイナーたちの大移動で勝ち組となったのは、いったいどこの国なのか。それは世界のマイニングシェアが2021年4月の16.8%から8月の時点で35.4%に増加した米国、中国の取り締まり以前は8.2%だったシェアが18.1%に増加したカザフスタン、そしてハッシュレートのシェアが6.8%から11%に増加したロシアだ。

CCAFは、世界のハッシュレートは近いうちに中国政府による弾圧以前の状態に完全回復するのではないかとみている。仮想通貨マイニング企業Luxor Technologiesが発表した分析によると、中国での取り締まりを受けて一気に半減した世界のビットコインマイニングは、2021年第3四半期終了時点で103%の回復を記録していた。その原動力の中心となったのは、北米のマイナーたちだという。

見えない環境への影響

現時点では、この重大な地理的シフトが仮想通貨マイニングの環境フットプリントに与える影響を推測することは難しい。ビットコインが主流の地位へと徐々に近づくなか、仮想通貨マイニングの環境フットプリントに対する監視の目も厳しさを増している。

より規制や環境への意識が強い国へとマイニングの中心が移れば、マイナーたちがより大々的に再生可能エネルギーを利用するようになり、ビットコインの環境負荷が減るのではないかと期待されている。なお、CCAFの調査によると、2020年時点でビットコインマイニングの消費電力のうち再生可能エネルギーによるものは、わずか39%だったという。

だが、北米を拠点とするマイナーたちの状況を楽観視する理由は複数が挙げられる一方で、ロシアやカザフスタンのように石油やガスが豊富な国のマイナーたちが、先陣を切って近い将来に再生可能エネルギーへと移行する可能性は低い。

CCAFのデジタルアセット部門の責任者のミシェル・ロークは、中国の仮想通貨禁止による環境への影響を評価するにはさらなる調査が必要だと指摘する。「各国のハッシュレートシェアの変化によってもたらされたビットコインのカーボンフットプリントの変動を評価することはできません」と、ロークは言う。「相反する要素を考慮すると、その経過は不透明なのです」

中国における仮想通貨の“死”

さらに、中国のマイナーたち全員が国外へ去ったのかどうかも不明だ。CCAFのデータは「マイニングプール」から自発的に提供を受けたものである。マイニングプールとはマイナーたちの大規模な連合体で、コンピューターの処理能力を結集させてビットコインの報酬をより多く稼ぐことを目的としている。

CCAFと提携するマイニングプールは、メンバーのIPアドレスを集計して所在地を割り出し、そのデータに基づいて地理的な分布図を作成している。検証上の仮説としては、このデータが世界のビットコインマイニングの状況を示す代表サンプルということになっているが、なかには活動そのものを検知されておらず、いまでも密かに中国国内で活動しているマイナーがいる可能性もある。

中国での仮想通貨の取り扱いが、日増しに難しくなっていることは確かだろう。中国政府は9月、仮想通貨マイニングが事実上違法であると正式発表し、あらゆる仮想通貨の取引と取引サービスを中国国民に提供する企業は違法とみなされるようになった。

仮想通貨関係者の間では、「中国は何度も仮想通貨を禁止してきたが、そのたびに完全な失敗に終わっている」というジョークがある。しかし今回は、中国政府が仮想通貨を永久に葬り去ったのかもしれないことを、データが示している。