中国国際輸入博が開幕 対米にらみTPPへ習氏意欲

「中国国際輸入博覧会」の開幕を前に行われた式典で、ビデオ演説する中国の習近平国家主席=4日、中国・上海(新華社=共同)
「中国国際輸入博覧会」の開幕を前に行われた式典で、ビデオ演説する中国の習近平国家主席=4日、中国・上海(新華社=共同)

【北京=三塚聖平】各国企業が中国に売り込みたい商品を展示する大型見本市「中国国際輸入博覧会」が5日、上海で開幕した。習近平国家主席は4日夜の式典で放映したビデオ演説で「高いレベルの開放を揺るぎなく推進する」と述べ、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加入に改めて強い意欲を示した。

中国はTPP加入申請を9月に行うなど、経済・貿易に関する影響力拡大を急ぐ。バイデン米政権が、同盟国などと対中圧力を強めている中、習政権は14億人の人口を抱える巨大市場を武器に対抗する構えだ。

習氏は「現在、世界では一国主義、保護主義が台頭し、経済のグローバル化が逆流している」と述べ、名指しを避けつつ米国を牽制(けんせい)。中国が2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟してから今年で20年となり、この間に関税引き下げなどに取り組んできたと主張し、対外開放や国際協調の姿勢をアピールした。

輸入博は、習氏の主導で18年に始まり、今年で4回目。中国最大級の総合見本市として、出展した外国企業は中国市場へ売り込みたい製品やサービスを展示。10日までの会期中に127の国と地域から約3千社の企業が出展するという。

日本企業も多く参加しており、パナソニックで中国・北東アジア総代表を務める本間哲朗氏は「中国市場と外国企業を結び付ける機能が効率的につくられている」と輸入博の効果に期待を寄せる。

中国が地球温暖化対策の強化を進める中、今回は環境に関する展示をアピールする企業が目立つ。トヨタ自動車は、水素を燃料として二酸化炭素(CO2)を出さずに走る燃料電池車(FCV)「ミライ」の新型を出展した。パナソニックは、水素燃料電池や、それを使った冷熱ソリューションを公開。カジュアル衣料品店を運営するユニクロは、ジーンズの仕上げ加工時の水使用量を大幅に削減する技術などを紹介した。

現在、中国各地では新型コロナウイルスの感染が再拡大。輸入博でも感染防止策が強化されており、来場者数などに影響を与えるとみられる。

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