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井崎脩五郎のおもしろ競馬学

女の子に名前をつけるなら

知り合いの家に、女の子が生まれて、「野乃(のの)」という名がついた。ちょっと古風な名前。

「おじいちゃんが、つけてくれたんです。(抱えた赤ちゃんを見ながら)野乃ちゃん♡」

聞けば、「どんな字を書くの?」と問われたとき、野原の〝野〟、乃木坂の〝乃〟と答えているそうだ。

話しているうちに、ハッと思い出した。作家の山口瞳さん(1926~95年)が、長期にわたって週刊新潮で連載なさったエッセー「男性自身」のなかで、野乃という名前について触れていた。自分の子がもし女だったら、野乃という名をつけるつもりであったと。字風の良さで。

生まれた子は男で、正介と名づけられ、その山口正介さんは現在、作家として「道化師は笑わない」「親子三人」「アメリカの親戚」など著書多数。父・山口瞳さんは1963年に「江分利満(えぶりまん)氏の優雅な生活」で直木賞を受賞されており、その冒頭に

<砂利の多い道を少年が駈けてゆく。日曜日の午後1時を少し廻ったところである。>

<この少年が、江分利満の1人息子の江分利庄助(10歳)である。>

とある。この庄助のモデルが正介さんである。

「あらあ、直木賞作家がつけようとしていた名前なんですか。なんだか、すごくうれしい」

この、野乃にからむ話を、知り合いのその若い母親に伝えると、こんなふうに喜んでくれた。

あれは、91年の有馬記念を、15頭立て14番人気の伏兵ダイユウサク(単勝1万3790円)が勝って、すぐのこと。競馬場で山口瞳さんとお会いしてダイユウサクの話になり、「2000メートルを超したら大差負けばかりの馬が、まさかレコード勝ちするとはねえ」とおっしゃるので、「あの馬は、父親の名前がノノアルコだから、ノノアルコの〝ノノ〟でお買いになればよかったのに」と申し上げたら、「覚えてくれていたの…、ああ…」と喜んでくださった思い出がある。 (競馬コラムニスト)