エチオピア戦闘が緊迫 首相が非常事態宣言

エチオピア北部ティグレ州で、空爆により破壊された建物=10月28日(AP)
エチオピア北部ティグレ州で、空爆により破壊された建物=10月28日(AP)

アフリカ東部のエチオピアで、連邦政府軍と北部ティグレ州を拠点とする「ティグレ人民解放戦線」(TPLF)との武力紛争が起きて1年が過ぎた。戦闘は激化の兆しをみせ、連邦政府のアビー首相が非常事態宣言を出すなど、事態は緊迫の度を深めている。

ロイター通信によると、4日にはアフリカ東部担当の米国の特使が現地入りしてアフリカ連合(AU)幹部と会談、事態収拾について協議した。国連や欧州、周辺国からも即時停戦を求める声が相次いでいる。

紛争は昨年11月4日、連邦軍がTPLFに攻撃を受けたとして報復したのが発端。連邦政府は今年6月、一時停戦を宣言したがTPLFは攻勢を強め、首都アディスアベバまで300キロ余りの地点に迫った。さらに首都に向けて進撃する方針を示唆しており、アビー氏は今月2日に全土に非常事態を宣言。首都周辺の市民に抵抗を呼びかけた。

TPLFの主体である少数民族ティグレは全人口の5%程度ながら強力な軍事組織を持ち、約30年にわたり国政の中枢を占めてきた。2018年に首相に就任したアビー氏は中央集権を掲げ、反発するTPLFの幹部らを政界から排除して対立が深刻化したとされる。アビー氏は隣国エリトリアとの国境紛争を終結させたとして19年にノーベル平和賞を受賞した。

ティグレ州は通信網が遮断され、メディアの立ち入りも制限されている。人道支援物資の搬入も10月中旬から途絶え、国連によると40万人以上が飢餓の危機に直面している。10月下旬に軍事クーデターが起きた隣国スーダンにも数万人規模が避難した。(カイロ 佐藤貴生)