大型店内の障害者支援、スマホアプリで円滑 JSOL・袖縁、実用化へ一歩

調布PARCOで、スマホアプリで呼んだ警備員(右)に案内を依頼する視覚障害者=10月6日、東京都調布市
調布PARCOで、スマホアプリで呼んだ警備員(右)に案内を依頼する視覚障害者=10月6日、東京都調布市

買い物や移動で困っている障害者らと、店舗など支援する側をつなぐマッチングアプリが実用化に一歩前進した。ICT(情報通信技術)サービスのJSOL(東京都中央区)と、ベンチャー企業の袖縁(そでえん)(同)が開発を進めているアプリを使った商業施設での実証実験で一定の成果を得たためで、今後参加した視覚障害者(要配慮者)や店舗の意見を取り入れてアプリを改良する。来春をめどに新たな段階に移行し、本格運用につなげていく考えだ。

東京郊外の調布PARCO(パルコ、調布市)の正面入り口近くで視覚障害者がスマートフォンを操作。駆けつけた警備員に「(良品計画の)無印良品に行きたい」と告げると店舗まで案内され、引き継いだ販売スタッフの接客で買い物を楽しんだ。

実証実験は10月6日に調布PARCO、12日に丸井錦糸町店(東京都墨田区)で実施した。アプリの使い勝手を確かめるだけでなく、「視覚障害者をスムーズに接客できるかがポイント。そのためにはコミュニケーションが大事だ」(JSOLの三尾幸司・社会イノベーション推進センター長)との問題意識から行った。

JSOLと袖縁が開発しているのは、商業施設や駅などで要配慮者が店員や駅員にサポートを依頼できるスマホアプリ。第1弾として音声読み上げ機能と連動した視覚障害者用を開発した。「出迎え依頼」「手助け依頼」「トイレ案内」に加え、支援する側に「(店舗間の)引き継ぎ」などの機能がある。

実証実験では、販売スタッフが戸惑うことなく接客できるよう、要配慮者は事前に障害内容や特性などサポート時に必要な情報をアプリに登録。このため「説明ストレスが軽減される」(視覚障害者)、「安心感がある」(販売スタッフ)と好評だった。

無印良品調布パルコの伊藤篤店長は「来店が困難だった人がアプリを使うことで気軽に来られるきっかけに十分なり得る」と評価。顧客開拓につながる期待から、「運用が決まれば使いたい」と前向きだ。実際、視覚障害者は「アプリ導入施設を優先的に使いたい」と話しており、誘客効果はありそうだ。パルコの国本和之・サステナビリティ推進部長は「多様な来店客がストレスなく、しかも楽しめる施設づくりに有意義」と理解を示す。

ただ、実証実験では操作に手間がかかったり、スマホがつながっているかどうか不安だったりといった課題も明確化。袖縁の友枝敦代表取締役は「サービス開始に向けて改善点が見えてきた」とバージョンアップに意欲を示す。

今回は事前に、参加する視覚障害者、行きたい店舗のスタッフなどを決めて施設内での移動や案内、接客を行った。次回は来年4月にも、視覚障害者からのサポート依頼がいつ来るか分からない状態で行い、通常業務の中で利用可能かどうかを検証する。

その後も実証実験を重ね、視覚障害者に限らず高齢者やベビーカー利用者など身体・精神的な不安や困難を抱えた全ての要配慮者に提供できるアプリの開発を目指す。(松岡健夫)