朝晴れエッセー

福娘・11月5日

私は高齢出産で娘を授かった。妊娠時、母体に問題があることがわかり、大学病院を紹介されての出産となった。

ところが、お腹の中の娘が成長することで病巣が押しつぶされ、ぺったんこに石化してしまった。

娘がやっつけてくれたのだ。やや難産ではあったが、母子ともに健康で無事退院することができ、さらには病巣を取り除く手術もしなくてすむことになった。

以来、単純な私の脳は、娘のことを「良いことをもたらす人」と認知してしまったようだ。

少々気難しく頭の回転が速い娘との口論は脳トレ、取っ組み合いのけんかは筋トレ、早朝の弁当作りは、早起きして澄んだ空気の中で散歩もできるな、と思えるのである。イライラして対立することも多々あるものの、最終的には彼女のおかげで、よかったなあと思えるのである。

物事は最初が肝心だとよく言われるが、私のお腹を選んで宿ってくれた娘は、良い母娘関係を築けるよう、最初から頑張ってくれたようにも感じている。

そんな彼女も令和4年には成人式、私は還暦を迎える。

当時の私は仕事を独立して数年で子育てもままならず、夫や夫の両親にたくさん助けていただいた。おかげで明るく個性豊かに育ってくれた。お互いに新しいスタートラインに立てることに感謝してこれからもさらに良い関係を作っていけたらと願う。

彼女にとっても私が、「良いことをもたらす人」になれるよう、自然体で支えていこうと思っている。

井川典子 59 愛知県尾張旭市