埼玉りそな銀行は、出版大手のKADOKAWAが運営する大型文化複合施設、ところざわサクラタウン(埼玉県所沢市)で、漫画などのキャラクターのイラストを描いた電子通貨「サクラタウンコイン」の実証実験を始めた。ポップカルチャーの発信拠点と位置づけられるサクラタウンの利用者から、デザイン性を売りにした電子通貨がどう評価されるかを検証する。
実証実験は、KADOKAWA、電機大手の富士通と共同で来年4月10日まで実施する。コインの取り扱いはサクラタウン内の書店「ダ・ヴィンチストア」からスタートし、順次拡大する計画だ。
利用者は現金を支払ってコインをチャージし、5万円まで保有できる。チャージや支払いはスマートフォンで専用サイトにアクセスして行う。現金決済のように、お釣りとして差額分のコインを受け取ることができる。
デザインは、漫画「ケロロ軍曹」のキャラクターや埼玉県のマスコット「コバトン」、りそなグループの「りそにゃ」など5種類。金額は1円から1万円まで9種類あるため、キャラクターとの組み合わせは45通りとなる。
キャラクターはさらに増やしていく予定だ。コインにデザイン性を持たせることで、「どのコインを使おうか」「このコインはとっておこう」といった楽しみを味わってもらうことを狙った。
埼玉りそな銀行は実証実験を通じて地域振興策としての可能性を探る。担当者は「地域振興券は紙のものが大半を占めているが、電子通貨を応用できれば効率化に寄与する」と話している。(中村智隆)