発表会や修学旅行、そろり再開も…学校には危機感

政府による教育のデジタル化戦略の一環で1人1台配布された学習用端末を使って授業を受ける児童ら=10月27日、足立区立綾瀬小学校(松井英幸撮影、画像を一部加工しています)
政府による教育のデジタル化戦略の一環で1人1台配布された学習用端末を使って授業を受ける児童ら=10月27日、足立区立綾瀬小学校(松井英幸撮影、画像を一部加工しています)

新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の解除から1カ月あまり。飲食店への時短営業要請が解かれるなど社会生活で制限緩和が進むなか、学校現場にも取りやめていた学級間交流や宿泊行事を再開する動きが目立つ。ただ、警戒の緩みによる第6波への教育関係者の懸念はなお強く、授業のICT(情報通信技術)化などコロナとの「共存」も見据えた学校生活の在り方が模索される。(玉崎栄次)

端末持ち帰り

10月下旬。東京都足立区立綾瀬小の5年生の教室で、4時間目の家庭科の授業が始まった。「日本の染め物を調べよう」。子供たちはそれぞれの机上に開いたノートパソコンで検索にいそしんでいた。

「第6波の心配もある。いつ休校になっても学習の遅れが出ないように、授業で端末を積極的に活用して習熟を進めています」

臼田治夫校長はこう語る。約780人の全校児童に端末配布を終えたのは9月の夏休み中。新学期の授業再開後、児童は端末を毎日持ち帰り、学校でも家庭でも身近に接している。

緊急事態宣言中は区の要請で学級・学年間の交流を中止していた。宣言解除後に学級間に限って再開し、今月15日には学年ごとに保護者も招いて合唱や合奏を行う音楽発表会を開催する。6年生の栃木・日光への修学旅行も今月下旬に決行できる予定だという。

PCR検査

懸念されるのは、社会生活の制限緩和に伴って生じかねない子供たちの警戒感の緩みだ。文部科学省も「第6波は気になるところ。引き続き現場での体制強化を取ってほしい」(末松信介文科相)と促す。

綾瀬小では消毒や密回避など校内の感染対策は第1波以降、水準を下げずに継続している。臼田校長は「教職員が率先して手洗いや消毒している姿を子供たちに見せ、感染対策の意識を維持していく。学校が感染源になることは避けなければ」と力を込める。

教職員は全員ワクチンを接種済みだが、接種後に感染してしまう「ブレイクスルー感染」を警戒し、学校独自に定期的なPCR検査も予定する念の入れようだ。各地の学校現場でも、教職員に対する感染対策を強化する動きが目立つ。

例えば、川崎市教育委員会は11月下旬以降、来年3月までワクチン未接種の市立学校教職員に任意で週1回のPCR検査を実施することを決定。市教委の担当者は「11月中には接種率が9割を超える見通しで、学校での感染リスクを可能な限り低減したい」と話す。

ワクチン接種

冬場には感染拡大の第6波到来も懸念される。国内ではワクチン接種の対象が12歳以上で、受験を控えた中高生の優先接種も進む。小学6年生で対象年齢に達した一部の児童が接種を受けるケースもある。

米製薬大手のファイザー社は5~11歳にもワクチンを接種できるよう承認申請に向けた協議を日本政府と進めている。米疾病対策センター(CDC)は接種を推奨しており、米国では、すでに一部で接種が始まっている。国内でも政府の判断が注目される。

「子供の重症化リスクの低さや副反応などを踏まえると、保護者らを巻き込んだ本格的な議論になるのではないか」。東京都内の公立小で低学年の担任をしている女性教員(38)はこう指摘し、「感染状況が落ち着いているうちに、第6波に対応できるようにオンライン授業研究などを進めたい」と話している。