鬼筆のスポ魂

セDH制導入、巨人VS5球団の関係が険悪化?

セ・リーグでのDH制導入案を提唱し続けている巨人の原辰徳監督
セ・リーグでのDH制導入案を提唱し続けている巨人の原辰徳監督

皆の衆は「セ・リーグ価値向上委員会」なる会議が今シーズン中からスタートして、毎月のようにセ6球団が議論を沸騰させていることをご存じか? 6日から始まるポストシーズンマッチ。最後の日本シリーズ(11月20日開始・4戦先勝で日本一)の結果によっては、「価値向上委員会」は大紛糾するかもしれない。DH(指名打者)制導入案を巡る、巨人VS他のセ5球団の〝暗闘〟が険悪化する可能性があるのだ。

週明けの8日、セ・リーグは実行委員会、理事会とともに「セ・リーグ価値向上委員会」を開催する。今月は〝無風状態〟で終了すると思われるが、日本シリーズの結果が出た後に行う来月の同委員会は極めて波乱含みだ。どうしてか?は同委員会の発足した〝あらすじ〟を知ればうなずける。

昨季の日本シリーズはソフトバンクが巨人に2年連続で4連勝し、日本一に輝いた。ソフトバンクは4年連続の日本一。パ・リーグ球団が日本シリーズでは8年連続でセ・リーグ球団を破っている。セパの勢力図は「パ高セ低」が続いていて、今季こそ交流戦でセがパに49勝48敗11分けと勝ち越したが、2010年から10季(昨季は新型コロナウイルス感染防止策で中止)はパが勝ち越した。こうした状況下、2年前の2019年オフから原辰徳監督(63)ら巨人が提唱し続けているのが「セ・リーグのDH制導入案」だ。

「(パと違って)セ・リーグにはDH制がないからね。DH制は使うべきだろう。パ・リーグに相当、差をつけられている感じがある。(DH制導入の)メリットは少なからずある。投手は投手に専念できる。両リーグでルールが違うことにどういうメリットがあるのか。(セは)何を持って立ち止まっているのか」

力説する原監督と巨人は理事会や実行委員会などで再三、セ・リーグのDH制導入を提案し続けてきた。しかし、他のセ5球団は反対の立場を崩さなかった。もはや観客動員や放映権料など球団経営的に巨人戦依存からは脱却している他の5球団は〝この指止まれ〟になびかず、歩み寄りはないまま今日を迎えている。

そして、今シーズン途中からセ6球団首脳が「DH制導入への継続審議の場」として設立したのが「セ・リーグ価値向上委員会」だった。それが「DH制導入検討会議」とはならず「価値向上委員会」となった理由は、会議ではDH制の導入案だけを審議するのではなく、フリーエージェントの資格の見直しや、外国人枠の再考、ラグジュアリー・タックス(贅沢税)の設定案などリーグの様々な問題を包括的に話し合う-と定めたからだ。

もちろん、巨人側は「価値向上委員会」にDH制導入案が議題として組み込まれたことに不満タラタラ。DH制はグラウンド内のルールの問題だが、他の議題は球団と選手の契約内容や戦力構想にかかわる問題で明らかに次元が違う。

「風呂敷を広げて話し合うこと自体がおかしい。結局、DH制導入が嫌だから他の問題をごちゃごちゃに同居させて、DHの議論をかわすのが目的だろう」と巨人に近い球界関係者は解説していた。

今季の日本シリーズでもしパ・リーグ球団が日本一に輝けば、2013年の楽天から9年連続でパがセを破ることになる。公式戦は3位(61勝62敗20分け)の巨人が日本シリーズ出場権を得るのかどうかは分からない。ただ、仮にヤクルトや阪神が出場したとしても、日本シリーズの勝敗や内容次第ではまたまた「DH制導入案」が鎌首をもたげる。巨人はその時を待っているだろう。

注目されるセ・リーグ価値向上委員会の今後…。辞書を引くと「向上」の意味は「よりよい方向、すぐれた状態に向かうこと」とある。果たして会議の結論はそうなるのだろうか。

(特別記者)