世界津波の日「稲むらの火」和歌山・広川で訓練

浜口梧陵の指揮で築かれた「広村堤防」で行われた土盛り=和歌山県広川町
浜口梧陵の指揮で築かれた「広村堤防」で行われた土盛り=和歌山県広川町

国連が定めた「世界津波の日」の5日、江戸時代の安政南海地震(1854年)の際に実業家・浜口梧陵(ごりょう)が稲の束に火をつけ、津波の到来を村人に知らせた「稲むらの火」で知られる和歌山県広川町では、津波時に緊急停車した列車から降りて線路上を逃げる避難訓練や、災害の教訓を後世に伝える行事「津浪祭」などが行われた。参加者は訓練や行事を通じて、防災への意識を新たにした。

県によると、この日は町以外でも各地で避難訓練などが行われ、県内全体で約11万7200人が参加した。

広川町では、津波などから住民を守るため浜口梧陵の指揮で築かれた「広村堤防」周辺で津浪祭が行われた。

広村堤防では、津波被害の記憶を後世に伝えるため地元の子供ら約70人が集まり、「堤防を補修して津波から身を守る」という願いを込めて「土盛り」を行った。

参加した子供らは、持参した土を堤防に盛り、押し固めるなどして梧陵の偉業に思いをはせた。

町立耐久中3年の原田ひよりさん(14)は「急に地震が起こって津波が起きても、逃げる。そうした命を守る行動につなげていきたい。この場所に来て、改めてそう思いました」と話した。

広村堤防近くでは、津波の犠牲者を追悼し、地域の平穏を祈る神事も行われた。広八幡宮の佐々木公平宮司が厳かに安全を祈願。参列者は玉ぐしをささげ、静かに手を合わせた。

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広川町のJR紀勢線では、マグニチュード(M)9・1の南海トラフ巨大地震が発生し、列車が津波に襲われる事態を想定し、緊急停車した列車から乗客らが避難する訓練が実施された。

列車から線路上に降り、走って津波から避難する訓練の参加者=和歌山県広川町
列車から線路上に降り、走って津波から避難する訓練の参加者=和歌山県広川町

JR西日本和歌山支社によると、過去の訓練では約400人が参加したこともあったが、昨年に続いて今年も新型コロナウイルス感染対策として規模を縮小。地元住民ら約100人が参加した。

訓練では、巨大地震の発生で列車が線路上の踏切近くで緊急停車。乗客らは乗務員の指示に従い、車内の避難用はしごを使ったり、線路上に直接降りたりして降車後、線路上を走って近くの広八幡宮まで避難した。

車いすの降車訓練も行われ、警察や消防も迅速な避難に協力した。

参加した町立広小5年の中井琉斗さん(10)は「走るのがつらかったけれど、命を守るためには大切な訓練。津波が起こっても冷静に行動できるようにしたい」と話した。

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