絵本と歩む

最後はみんなで、いいきもち! 「もりのおふとん」

絵本「もりのおふとん」
絵本「もりのおふとん」

布団のぬくもりが恋しい季節にぴったりの一冊があります。福音館書店から平成20年に刊行された「もりのおふろ」(西村敏雄さく)の続編、「もりのおふとん」(西村敏雄さく、令和2年)です。

森の奥に大きな布団がありました。ライオンがやってきて布団に入りました。「ふかふか おふとん いいきもち!」と、ワニやブタ、キツネにゴリラ…といろいろな動物たちがやってきます。そして、みんなで布団にもぐり込み、寝てしまいます。

すると、誰かが布団を引っ張って、気持ちよく寝ていた布団は取られてしまいます。布団を取った正体は?

作者が描いた、ゆるく、どこかおかしみのある動物たちの表情や仕草に読者は癒やされます。布団に入るときは、誰もがそうなのかもしれません。

布団の中にもぐり込む動物の姿を子供たちは面白がりました。その姿が布団の中に消えると、動物たちの寝息で浮き沈みまで感じ取れます。作者の独特の色使いと線の力によって、布団の動きや温かさまでも伝わってくるようです。

誰かに布団を引っ張られ、現れた動物たちの寝姿に子供たちは笑いました。

寒いんだものお互いさまと、一つの布団に、ライオンとウサギが一緒に入るなんて! そこには、弱肉強食の生き物の厳しい掟はありません。誰もが受け入れられ、みんなで寝場所を分け合うのです。最後はみんなで「ふかふか おふとん いいきもち!」。

だからこそ、読み終わった後、心がほっこりします。

子供たちは動物の寝顔を見て、「よかったね」「なんの夢をみてるのかな」と話しました。

こんな森のお布団が、私たち人間世界にもあればいいのになあ。(国立音楽大教授・同付属幼稚園長 林浩子)