トヨタ自動車が4日発表した令和3年9月中間連結決算は、最終利益が前年同期比約2・4倍の1兆5244億円で、中間期として2年ぶりに過去最高となった。前年同期に新型コロナウイルス禍で落ち込んだ自動車需要が北米などで回復。円安による利益の押し上げ効果もあった。ただ、9月以降は東南アジアのコロナ感染拡大による部品調達難や世界的な半導体不足から大幅減産を強いられており、挽回できるかが今後の焦点となる。
売上高は36・1%増の15兆4812億円、本業のもうけを示す営業利益は約3・4倍の1兆7474億円で、いずれも過去最高となった。
4年3月期の連結最終利益見通しを従来の2兆3千億円から2兆4900億円に、営業利益を2兆5千億円から2兆8千億円に、いずれも上方修正した。円安が追い風となり、それぞれ前期比で10・9%増、27・4%増となる。売上高は10・2%増の30兆円とし、従来予想を据え置いた。
ただ、原材料高騰などが減益要因となるため、4日にオンラインで報道陣の取材に応じたトヨタの近(こん)健太最高財務責任者(CFO)は「円安の影響を除けば、(通期利益は)実質は下方修正となる」と厳しい事業環境を説明した。
年間生産台数の見通しについては、減産影響の拡大で9月時点で当初の930万台から引き下げた900万台の水準を据え置いた。
子会社のダイハツ工業、日野自動車を含めた4年3月期のグループ総販売台数の見通しについては、減産の影響を考慮し、1055万台から1029万台に引き下げた。
近氏は、生産回復の時期については明言を避けたものの、回復後の生産規模については、「過去と比べてもかなり高いレベルに回復するのは間違いない」と自信を示した。