COP26 Q&A

気温上昇「1・5度未満」へ機運高まる

英北部グラスゴーで開催中の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で本格交渉が始まった。世界の気温上昇を産業革命前から1・5度未満に抑えるための方策が話し合われる。交渉の焦点や各国の立場などをまとめた。

Q 「1・5度未満」の目標とは

A 2020年に本格始動した温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」は、世界の気温を産業革命前から2度未満に抑えることを目標とし、できれば1・5度未満とする努力目標も掲げている。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が18年にまとめた特別報告は、2度と1・5度で気象や環境への影響に大きな差があると指摘。1・5度未満を目指す機運が国際的に高まった。

Q 目標は実現できるのか

A 厳しい状況だといわれている。IPCCによると、2030年には世界全体の温室効果ガス排出量を10年比で約45%削減し、50年ごろに「実質ゼロ」に抑える必要がある。だが、COP26開幕前の時点で国連機関が各国の自主削減目標を分析したところ、30年の削減目標のペースでは同年時点で排出量が16%増加、今世紀末に気温は2・7度上昇する。欧米や日本が掲げる排出量の「50年実質ゼロ」を達成しても今世紀末には気温が2・2度上昇するとされた。

Q 交渉の焦点は

A IPCCは2040年までに1・5度に到達する可能性を指摘する一方、今世紀末には1・4度に戻すことも可能としている。そのためには、各国の一段の削減努力が不可欠で、会議では目標を高める道筋をつけられるかが焦点だ。削減目標は5年ごとに見直す仕組み。議長国の英国は、石炭火力発電所を先進国が30年、途上国が40年までに廃止するよう訴えている。

Q 主要国の取り組みは

A 先進国の米国や欧州連合(EU)、日本などは排出量の「50年実質ゼロ」とともに30年の削減目標を示している。一方、温室効果ガスの最大排出国の中国は「実質ゼロ」の目標期限を60年とし、排出量が3番目に多いインドは70年としている。経済への影響のほか、両国は途上国としての立場もあり、さらなる目標引き上げに現時点で慎重のようだ。

Q 「途上国の立場」とは

A 途上国側には多くの温室効果ガスを排出してきた先進国が温暖化対策でより大きな責任を担うべきだとの考えが強い。そのため先進国は途上国の対策に資金援助もしている。先進国は20年までに年間1千億ドル(約11兆円)を拠出し、25年までこの規模を維持すると約束。目標は現時点で未達だが、途上国は26年以降も支援の継続・拡充を求めている。

Q 交渉は「先進国対途上国」の構図なの?

A 主要な対立軸ではあるが、そうとばかりではない。参加国は利害が合致する国と交渉グループをつくっている。途上国内でも中印などのほかにいくつかグループがあり、気候変動の影響に脆弱(ぜいじゃく)な島嶼(とうしょ)国などは、先進国で野心的な対策を目指す欧州連合(EU)と連携も強めている。日本は先進国のうち、米国やオーストラリアなどとグループをつくっている。(ニューヨーク 平田雄介)