後ろ盾失い「新しい資本主義」は針路に揺らぎも

自民党幹事長に就任し会見に臨む茂木敏充幹事長=4日午後、東京・永田町の自民党本部(矢島康弘撮影)
自民党幹事長に就任し会見に臨む茂木敏充幹事長=4日午後、東京・永田町の自民党本部(矢島康弘撮影)

自民党の新幹事長に就任した茂木敏充前外相は、党政調会長や経済産業相、経済再生担当相を歴任し、経済政策の運営手腕は十分だ。岸田文雄首相も茂木氏の実務能力に期待したとみられる。ただ、政権発足前から党の経済政策の議論を主導してきた甘利明前幹事長が辞任した影響は小さくない。首相が掲げる「新しい資本主義」は出だしから針路が揺らぐ懸念がある。

「早急に大型の経済対策を取りまとめ、影響を受けている家計や事業者の支援を行う」。4日の会見で茂木氏は経済政策に優先的に取り組む姿勢を強調した。

茂木氏は、甘利氏同様に主要な経済閣僚や党の要職で経済政策運営に関わってきた。茂木、甘利の両氏に仕えた経済官庁幹部は「2人とも頭の回転が早く、政策の理解も早い」と指摘する。追加経済対策の策定や「新しい資本主義」の具体化など「政策の連続性を考えると適任だ」(大和証券の末広徹シニアエコノミスト)と歓迎する声も出ている。

一方、甘利氏は党総裁選前から税制や経済安保の議論を主導してきた。総裁選でいち早く首相支持を表明した〝後ろ盾〟でもあり、岸田政権では追加経済対策や成長戦略の策定を担う山際大志郎経済再生相や、小林鷹之経済安全保障担当相ら、「新しい資本主義」を推進する要の閣僚を甘利氏の側近たちが担っている。

首相は安倍晋三、菅義偉両政権で進んだ官邸主導を軌道修正し、党と政府を密接に連携させたい考えで、政策運営にも幹事長の意向が色濃く出てきそうだ。茂木氏は令和元年9月の外相就任後、経済政策に関しては目立った発言をしていない。「当面は基本的に甘利氏の路線を踏襲するのではないか」(末広氏)とも指摘されるが、〝茂木カラー〟が今後の政策運営を左右すると見る向きもある。

(永田岳彦)