鑑賞眼

「ディノアライブ プレミアム タイムダイバー」リアルな恐竜たちによる感動ドラマに釘付け 

恐竜たちのリアルな動きと物語性が見事に一体化した「ディノアライブ プレミアム タイムダイバー」=東京都江東区(提供写真)(C)GEKKO
恐竜たちのリアルな動きと物語性が見事に一体化した「ディノアライブ プレミアム タイムダイバー」=東京都江東区(提供写真)(C)GEKKO

子供向けの恐竜ショーかと思っていたら、とんでもない。これは、休憩を挟んで約2時間の演劇舞台といってもいい。迫力に満ち、情感にあふれる舞台に圧倒された。

中生代。主役はティラノサウルスやステゴサウルスなど、とてもリアルな恐竜たちだ。全長13メートルのブラキオサウルスが地響きをたてて舞台を闊歩(かっぽ)し、獲物を狙うダコタラプトルは客席の通路をうろつく。

この恐竜たちは、「恐竜型メカニカルスーツ」。すなわち機械じかけの最先端の〝着ぐるみ〟なのだ。中に「パイロット」と呼ばれる人間が入って演じている。パイロットは、外部との通信で周囲の状況などを把握して操作するのだという。

また会場のIHIステージアラウンド東京は、客席が360度ぐるりと転回する日本で唯一の劇場。独特の機構が、恐竜たちの素早い動き、あるいは場所や時間の転換を表現しておもしろい。

そんな最先端の技術を駆使して描くのは、恐竜たちの弱肉強食の世界。食物連鎖のような自然と摂理、恐竜親子の細やかな情なども表現する。

たとえば、負傷し絶命しかけているティラノサウルス。子供のティラノサウルスが心配そうに見守るが、そこに2頭のダコタラプトルが現れ、無情にも弱った親を餌にしようと襲いかかる。このダコタラプトルの挙動が実にいやらしく、いかにも悪役然として見え、芝居を見る気分になるのだから不思議だ。

ナレーションは、人気俳優の小栗旬(しゅん)。演出は、小栗の兄で演出家の了(りょう)。了は「前方の席はアトラクション型の楽しみを、後方の席では映画を見るような感覚を味わえます」と言う。

実際に席を移って鑑賞してみたが、なるほど前方の席にいたら舞台から恐竜たちが顔や尻尾を突き出してくる。後方の席からだと背景の映像など全体像がよく把握でき、確かに映画を見るようでもあった。

本来、夏休みの公演がふさわしかったのだろうが、もちろんいつでも親子で楽しめる舞台だ。

「ディノアライブ プレミアム タイムダイバー」。東京都江東区のIHIステージアラウンド東京で来年1月10日まで。(石井健)

公演評「鑑賞眼」は毎週木曜日正午にアップします。