朝晴れエッセー

年金定期便・11月4日

今年9月に59歳の誕生日を迎えた私宛に、封書が年金機構から届いた。

最初の用紙に65歳から受け取れる年金の年額が記されているのだが、あまりに少ない数字に愕然(がくぜん)とし、暗澹(あんたん)たる気持ちのまま次の用紙に目を移すと、これまでの勤務先ごとにまとめられた年金加入履歴である。懐かしい2つの会社名にふと思いをはせる。

20歳頃から音楽で食べていく夢を抱き活動しながらも挫折し25歳で入社したY社。

立派な創業者兼経営者に導かれ、社会人の基礎と、働くとはどういうことかを叩き込まれ、かつ現在の妻と出会った思い出深い会社である。

が、経営者が年齢的衰えにより会社を畳むことになり、約15年勤務後私は退職し、けれどそのY社の関連会社F社に社長の厚意で入社させていただいた。

その社長に応えるべく奮闘したが約7年後、リーマンショックにより突然の解雇。中学生と高校生の2人の子供を抱えた47歳の私は茫然(ぼうぜん)自失だったが、何がどうだろうが家族を養わなければならず、スーパーの夜勤を始め、現在まで続けている。

Y社で178、F社で80、スーパーで140。年金の加入月数で、年換算にすると計約34年である。

さまざまな出来事や人々が脳裏に浮かぶに連れ、当初の65歳からの年金額に愕然とした気持ちは少しずつ和らいできていた。

曲がりなりにも汗水してここまで持ちこたえた自分をいたわってあげたかったのだろう。「あと6年、定年までもう少しだ」。自らを鼓舞した。


倉井一豊(59) 埼玉県蕨市