光を撮る

かつての輝きと影 消えゆくキャバレー

独特なネオンサインがおなじみの味園ユニバース。今もミナミの夜の顔だ
独特なネオンサインがおなじみの味園ユニバース。今もミナミの夜の顔だ

巨大なシャンデリアや乱反射するミラーボール、カラフルなネオン管。店内は光であふれていた。半世紀近く前、繁華街の花形だったキャバレー。最盛期は当時の勢いを反映し、いつも嬌声(きょうせい)と酒やたばこの香りがあった。そこには人工的な光が飛び交い、生バントの音楽が流れていた。今はほとんどの店が消えた。輝きを求め、熊本と大阪を訪ねると、そこには時代を語る光と影が待っていた。

光、音楽、酒。今夜も夢心地の時が流れる=熊本県八代市のキャバレー白馬
光、音楽、酒。今夜も夢心地の時が流れる=熊本県八代市のキャバレー白馬

国内最後とされるキャバレーは熊本県八代市にある。「キャバレー白馬」のオープンは昭和33年。現在の店舗は昭和40年頃に完成した。店は深紅(しんく)の絨毯(じゅうたん)が敷かれていた。中央にフローリングのダンスフロアのスペースが設けられ、囲むようにビロード張りのボックスシートがコの字形に並ぶ。奥にはステージがあり、キーボードとギターの生バンドが控えている。見上げるとミラーボールと豪華なシャンデリア。店内は乱反射する鋭い光線と柔らかな照明が交差していた。

ミラーボールの光がきらめくキャバレー白馬のフロア。昭和の雰囲気が濃厚だ=熊本県八代市
ミラーボールの光がきらめくキャバレー白馬のフロア。昭和の雰囲気が濃厚だ=熊本県八代市

「シャンデリアは先代社長が大阪まで行って、ホテルが予約していたものを『(値段の)倍出すから』と言って買い取ってきたそうです」と現在の社長の池田義信さん(72)。

昭和の面影を残すキャバレー白馬
昭和の面影を残すキャバレー白馬

約15年前までは予約無しでは入れなかったというが、今は「平日はガラガラ」。コロナ禍が続いた今年8~9月は休業したという。今後の営業について、池田さんは「もうかりはしないが店を開けてお客さんと顔を合わせれば楽しい。八代の人たちが育ててくれた店ですから」と穏やかに話した。

独特なネオンサインがおなじみの味園ユニバース。今もミナミの夜の顔だ
独特なネオンサインがおなじみの味園ユニバース。今もミナミの夜の顔だ

大阪・千日前の「味園ユニバース」は全盛期は約1500人のホステスを擁し、1日1000人の客でにぎわう日本最大のキャバレーだった。平成23年に営業を終え、今は音楽イベントの会場や貸しホールとして〝輝き〟を繫いでいる。

味園ユニバース
味園ユニバース

店内には地球や土星などの惑星を模した球体の照明に、ステージを覆うように設置されたカラフルなネオン管。ガラスを使った独特の温度感のある光のグラデーションは、ここにしかない独特の空気を創り出す。

味園ユニバースのステージで輝くネオン管
味園ユニバースのステージで輝くネオン管

「ネオン管は電力を食うが、強い印象と輝きはLEDに負けない」とマネジャーの竹原一平さん(55)は話す。ユニバースもコロナ禍で今も定員を3分の1以下まで減らして営業している。竹原さんは「ここで演奏したいというアーティストは、本当に多く、とめどなくいる。それが支えですね」と話した。

(写真報道局 恵守乾)