福岡和白病院の民間病院ヘリが離島医療に威力

同病院によると、ヘリの運航にはパイロットと整備士のほか、地上勤務の管理士の3人が必要で、運航管理室に常時待機し、緊急時に備える。ヘリ導入により、半径250キロ内の山口県西部や大分県も診療圏になり、駐機できるスペースも200カ所を確認しているという。現在の出動は壱岐島、対馬の患者搬送が中心。また、福岡和白病院を中心にした新小文字病院(北九州市)、新行橋病院(福岡県行橋市)、福岡新水巻病院(同県水巻町)、新武雄病院(佐賀県武雄市)の系列5病院相互の患者や医師搬送でも活躍。入退院する患者にも使われるが「搬送は無料」という。

■柔軟な運航が可能

これまでに心室細動を起こして倒れた登山者やゴルファーを現場から搬送したこともあった。昨年の出動はコロナ禍のため移動自粛などがあり52回にとどまったが、例年は100回前後の出動。ヘリ運航の諸経費は年間1億6千万円程度。福岡和白病院を中心に九州・山口、関東で27の医療系施設を運営するカマチグループ会長で、ヘリ導入を決断した蒲池(かまち)真澄氏は「採算は度外視してやっている。命が救われればそれでいい」と語る。

民間病院の事業のため、国や県が消防と連携して行っているドクターヘリなどとは異なり、柔軟な運航が可能だ。

今年8月に対馬で発作を起こした重症の1歳児は、長崎県の要請で自衛隊ヘリによる搬送となった。しかし、着いた海上自衛隊大村航空基地(長崎県大村市)周辺の病院では治療できず、結局、陸路で福岡市の福岡こども病院に搬送するしかなかったという。「これでは手遅れになる可能性がある」として、福岡こども病院は今後、福岡和白病院にヘリ出動を要請することにしたという。

「命と痛みに全力」をモットーにする福岡和白病院。医療搬送用ヘリの活躍の場は今後も広がりをみせそうだ。(永尾和夫)