神戸5人殺傷 発生から4年3カ月後の無罪 コロナ禍も影響

神戸地裁=神戸市中央区
神戸地裁=神戸市中央区

神戸市北区で平成29年7月に5人が殺傷された事件で、殺人罪などに問われ、無期懲役が求刑された男性被告(30)に神戸地裁は4日、無罪を言い渡した。発生から判決まで4年3カ月という長期間を要したのには2度の鑑定留置に加え、新型コロナウイルスの感染拡大も影響した。

■神戸5人殺傷事件、男性に無罪 責任能力の有無争点

事件が発生したのは29年7月16日朝。男性の祖父母や近所の女性が殺害され、男性の母親らも金属バットなどで殴られ、負傷した。兵庫県警は現場周辺で男性を発見し、包丁を所持していたとする銃刀法違反容疑で現行犯逮捕。その後、殺人容疑などで再逮捕した。

しかし、取り調べで男性の言動に不可解な点があったことなどから、神戸地検は同年9月、犯行時の精神状態を調べるための鑑定留置を実施。担当した医師は「人を殺害したという認識はなく、精神症状の影響は圧倒的だった」と評価した。

地検は詐病の可能性も視野に、別の医師にも鑑定を依頼。その結果、刑事責任能力を問えると判断し、発生から約10カ月後の30年5月に起訴した。

起訴前に2度も精神鑑定を実施するのは珍しく、刑事処分の判断までに相当の時間が経過した。さらに起訴後も争点を整理する公判前整理手続きが、鑑定医の一人が海外赴任したことなどで停滞。結局、コロナの影響で帰国困難となって出廷できず、証人尋問の代わりに公判前の証人尋問の書き起こしを読み上げる形で証拠調べが行われた。