神戸5人殺傷 割れた精神鑑定 裁判員難しい判断も

神戸地裁=神戸市中央区
神戸地裁=神戸市中央区

神戸の5人殺傷事件で神戸地裁は4日、男性被告(30)に無罪を言い渡した。公判では男性の精神鑑定などに当たった医師の見解が割れ、裁判員は難しい判断を迫られた。

責任能力の有無が争点となった公判では、精神鑑定が起訴前に2度、起訴後にも弁護側の請求で1度実施されるなど異例の経過をたどり、発生から判決まで4年3カ月を要した。被告には事件前までに精神障害の病歴はなかった。

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鑑定結果は、男性が高等専門学校時代の同級生に一方的に好意を募らせ、「自分と女性以外の存在を殺せば、女性と結婚できる」との妄想を抱いていたという点ではおおむね一致した。

ただ、犯行との関係について「犯行は幻聴、妄想などに圧倒的な影響を受けた」とする結果と「幻覚、妄想の影響を受けて犯行に及んだが、実行するか思いとどまるか判断する能力を一定有していた」とする結果とに分かれた。

判決で飯島裁判長は、後者の鑑定医が男性に拒絶され、鑑定時に面接しておらず「公判で男性の供述を聞いて少なからず意見を修正している」と指摘。前者の鑑定結果を採用し、男性は心神喪失状態にあった疑いが残ると結論づけた。

判決後、裁判員を務めた40代男性が報道陣の取材に応じ、「男性との面接時間が等しい時間ならまた違う結果になったかもしれない」と感想を語った。

また「被害者の方々、遺族の方々、世間の皆さまにとって納得できない結果になったと思うが、日本の法律上、男性が心神喪失のため無罪になった」と神妙な表情で述べた。