【ワシントン=塩原永久】米連邦準備制度理事会(FRB)は3日、米国債などを買い入れて市場に資金を流す量的金融緩和策の縮小を、今月から開始することを決めた。11月中旬に資産購入額を月150億ドル(約1兆7千億円)削減する。米経済成長が続くとみて、新型コロナウイルス禍を受けて導入した異例の大規模緩和を終える「金融政策の正常化」に乗り出す。
同日の連邦公開市場委員会(FOMC)で全会一致で決めた。
FRBは昨年3月、コロナ感染拡大への危機対応として大規模緩和を決めた。約1年8カ月を経て、量的緩和を終える「出口」に向かう政策転換を図る。
これまでの資産購入額は月額1200億ドル(約13兆7千億円)だった。資産購入減額の内訳は、米国債が月100億ドル(約1兆1400億円)、住宅ローン担保証券(MBS)を月50億ドルそれぞれ減らす。
12月も同額減らすとしているが、景気動向に応じて減額幅を増やしたり、減らしたりする方針だ。
パウエル議長は記者会見し、景気回復が順調に続けば、資産購入の減額は「来年半ばまでに完了する」との見解を示した。
一方、量的緩和と合わせ昨春導入した事実上のゼロ金利政策について、パウエル氏は「利上げのときではない」と強調。ゼロ金利を当面維持すると強調した。
FRBの声明は、米経済が「通年で力強い成長が見込まれる」とした。
一方、「インフレ率の上昇は主に一時的なものと予想される要因を反映している」とし、これまで「主に一時的な要因を反映」としてきた表現を変えた。断定的に「一時的な要因」だと言及するのをやめ、物流停滞や調達難にともなう物価上昇の長期化に警戒感を強めていることを示唆した。