昨年、NHKBSテレビのアナザーストーリーズで、『時代に翻弄された歌 イムジン河』が放送された。1968(昭和43)年2月、ザ・フォーク・クルセダーズ(フォークル)のシングルとして発売が決まっていながらレコードのクレジットをめぐって朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)の抗議を受け、発売中止(※1)になった〝幻の名曲〟がテーマである。
それから半世紀あまり。番組では、フォークルの元メンバー、きたやまおさむ(75)=※2=や、フォークル版の日本語歌詞(2、3番)をつくった、松山猛(たけし)(75)=※3、2001年のNHK紅白歌合戦で熱唱した韓国人歌手、キム・ヨンジャ(62)らが出演し、思いを語った。そこに、当時の総連側証言者として出ていたのが、音楽プロデューサー、李喆雨(リ・チョルウ)(83)である。
番組を見ながら「50年以上前の騒動」を知っている人は今やどれほどだろうか?と心配になった。60歳以下ならこの歌を聴いたことすらない人も少なくないだろう。