正論

緊急事態にも国会の機能維持を 国士舘大学特任教授、日本大学名誉教授・百地章

国士舘大学特任教授、日本大学名誉教授・百地章氏
国士舘大学特任教授、日本大学名誉教授・百地章氏

11月3日は現行憲法の公布日だが、戦前は明治節つまり明治天皇のご生誕を祝う日であった。そこで明治国家の金字塔である明治憲法と現行憲法を、緊急時における国会の機能維持の視点から瞥見(べっけん)し、喫緊の課題を考えてみたい。

明治憲法下の緊急命令

明治憲法には、当時の先進国プロイセンに倣って戒厳や緊急命令などの緊急事態条項があった。このうち緊急事態において議会が召集できない場合に備えた規定が8条の緊急命令である。

それによれば、天皇は公共の安全を保持し、またはその災厄を避けるため緊急の必要があり、帝国議会が閉会の場合には、法律に代わる勅令つまり「緊急命令」を発することができる。そして後日、議会の統制に服する。この緊急命令は、時代によって濫用(らんよう)されたこともある。しかし、大正12年の関東大震災の折には、首都東京が壊滅状態にあって議会が開けない中、大きな役割を果たした。

山本権兵衛内閣は1カ月間に13本の緊急命令を発出し、治安の維持、被災者の救済、物価高騰の抑止等に当たったが、「総体的に見れば、これら一連の緊急命令は、真にやむを得ざる〔もので〕応急的・臨時的立法の限界をこえるものは殆(ほとん)どなかった(大西芳雄「旧憲法下の国家緊急権」)。

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