富士宮市の足立一教さん 幼児教育に懸けた半生 瑞宝双光章

長年携わってきた幼児教育で瑞宝双光章を受章した足立一教さん(中央)=富士宮市淀師(松本恵司撮影)
長年携わってきた幼児教育で瑞宝双光章を受章した足立一教さん(中央)=富士宮市淀師(松本恵司撮影)

3日発令の秋の叙勲で、約40年にわたって幼児教育に携わってきた元リーチェル幼稚園長、足立一教(かずのり)さん(77)=静岡県富士宮市=が瑞宝双光章を受章した。約20年前には同じ道を歩んだ母も叙勲を受章しており、自分の金婚式、喜寿とともに〝四重〟の喜びとなった。

受章の一報を聞いた瞬間、初めは「冗談だろう」と思ったそうだ。ただ、実感が伴うようになると、子供たちと毎日、幼稚園で接する生活が「認められたといううれしさがある」と笑みが漏れた。約20年前に母・政代さんも「叙勲をもらいまして」と打ち明け、「同じ章をもらうなんて」と感慨深げにうなずいた。

喜寿・金婚式・母もかつて叙勲…〝四重〟の喜び

金婚式を祝ったばかりの、てるみ夫人(72)も「同じ道なんだね、と。間違ってなかったと言ってくれた」と感謝に堪えない様子だった。10月には喜寿を迎えたばかり。慶事を締めくくる形になった。

約40年前、サラリーマンから転身し、幼児教育に携わってきた父母の思いを引き継ぐ形で幼稚園経営に乗り出した。ただ、無一文からの出発。地元の協会からの反対もあり、先生への給与の遅延も。それでも「日本一の幼稚園にしてみせる」と歯を食いしばった。

大学に通い直し、幼児教育に必要な知識を6、7年かけて学んだ。米国の幼稚園教育の視察にも出掛けた。子供が自然に触れ合えるよう園庭を手作りし、10年前には賞も受賞した。

たくましく育つ環境つくりたい

日本の伝統を守るためには、国の根底を支える子供の育成の大切さを実感する。「『三つ子の魂』ではないが、魂に何を吹き込むかが僕たちの仕事」と言う。今は理解できなくても、成長するにつれて自らの行動規範になってくれると信じ、古事記などの神話を約50人の先生の協力を得て、紙芝居などの形で教えている。「神話を忘れた国民は消滅する」という信念がある。

第一線を後進に譲ったが、これから実行に移したい計画がある。「人間的要素を養える環境づくりをしたい」。冒険ができ、昆虫を捕まえ、わんぱくでもたくましく育つ環境づくりを進めたいと夢をはせる。「質実剛健」「積極進取」という座右銘を胸に、幼児教育の充実に突き進む覚悟だ。