ソウルからヨボセヨ

革靴で夜の山行

徴用工を象徴する像として韓国・大田に設置された彫刻作品=2019年8月(聯合=共同)
徴用工を象徴する像として韓国・大田に設置された彫刻作品=2019年8月(聯合=共同)

いわゆる徴用工訴訟問題で、地方で活動する原告代理人の弁護士がソウルに来るというので、取材を申し込んだ。土曜の午後、高速鉄道の到着駅構内で話を聞く予定だったのだが、「少し散歩しながら話さないか」と誘われ、タクシーで移動した先はソウル中心部から北方の北漢山(プッカンサン)のふもと。革靴のまま、想定外の登山が始まった。

ICレコーダーを片手に、息を切らしながら話を聞くこと1時間。弁護士が宿泊するという山中の寺院に到着した。弁護士と別れ一人で下山し始めたのだが、道なき道を進むうち、登ってきたのとは明らかに違うルートを歩いていることに気づく。あたりもすっかり暗くなる中、2時間近く歩いてようやく街の明かりが視界に入り、安堵(あんど)のため息を漏らした。

夜の下山はもうこりごりだが、おかげでじっくりと話を聞くことができた。弁護士は日本政府の立場と相いれない解決方法を主張する一方、協議を進めようとしない文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対する不満も爆発させ「弾劾されるべきだ」と言う。韓国政府や市民団体の主張をつい一緒くたに考えがちだが、多様な立場があることを改めて実感した。

電話取材では伝わらないことがたくさんある。今後増えるだろう「コロナ後」の対面取材に備え、なるべく動きやすい靴を用意しておこう。(時吉達也)