朝晴れエッセー

代理の家庭教師・11月3日

幼なじみの代理で、少しの間中3の女の子の家庭教師をすることになった。

突然受験生を教えることに不安を覚えながらも、どうしようと悩む間もなく授業準備に取り掛かった。

まずは中学校の学習内容を確認する。懐かしい気持ちで問題を解いていると、眠っていた記憶が目を覚ますような感覚に陥った。

だんだん思い出してきて、昔の自分の頑張りが、ちゃんと頭に残っていることを実感した。

家庭教師が始まると、いろんな壁にぶつかった。集中力がもたない、睡魔に負ける、宿題をやってこないの三拍子。

生徒のやる気を引き出すためにも、私の中の知識や経験を総動員させて試行錯誤する必要があった。

私はかつて心理カウンセラーを目指していた。他にも公務員試験を受けたり、短期留学したりと遠回りしていた。

何者にもなれない自分が嫌だったが、ここではどれも素晴らしい武器になった。

生徒の心をつかみ、勉強への一手につながったのは、過去に私が挫折したことだった。それは、生徒の不安や悩みに寄り添うことや、外国での経験を語ることだ。心を込めて話した思いが、きっと生徒に伝わったのだろう。

過去の自分が選ばなかった道や諦めた道にかけた時間や労力は、形を変えながら私の中に生き続け、今もしっかり役に立っている。

それを教えてくれたのは、代理の家庭教師で受け持った生徒である。

古澤眞帆 27 奈良県生駒市