「好きなこと必死で続けた」 青木野枝さんに紫綬褒章

笑顔を見せる、紫綬褒章受章が決まった彫刻家の青木野枝さん
笑顔を見せる、紫綬褒章受章が決まった彫刻家の青木野枝さん

空間に、まるで鉛筆で描いたような線を生み出す軽やかな彫刻は、手作業で鉄板を溶断したパーツをつなげ、制作していく。青木野枝さんは紫綬褒章の知らせに「彫刻ほど好きなものが他になくて、ただ、必死でつくってきました」と笑顔を見せた。

「絵が下手くそだったから彫刻に進んだ」と冗談めかすが、美術大の学生時代に鉄を素材に使い、手応えを感じた。「地球にも人体にも存在し、身近にある」金属。熱すると光って半透明になり、やがてさびていく。変化する美に引かれ、鶏舎を改装した埼玉県のアトリエで毎日制作する。

多くの美術館が作品を所蔵し、各地で大規模な個展が開かれてきた。自作が野外に設置されるときは「置いていいと思われ、風景になっていくのが大事」との思いで地域の人と交流を重ねる。「天才でも何でもなく、普通」と笑うその感覚が、にび色の硬い鉄から、風が通り抜けるような柔らかな風景を生んでいる。