時代の先見据えた料理を 鎌田昭男・東京ドームホテル名誉総料理長に黄綬褒章

「好奇心と情熱が大事」と話す東京ドームホテル名誉総料理長の鎌田昭男さん=文京区
「好奇心と情熱が大事」と話す東京ドームホテル名誉総料理長の鎌田昭男さん=文京区

60年近くにわたり、フレンチ料理人として足跡を残してきた。「見ていただいている方がいるんだなと感謝しています」と今回の受章を喜ぶ。

茨城県出身。子供の頃は「フレンチなんて食べたこともなかった」が、中学卒業とともに近所の料理人の誘いで川崎市の洋食屋に就職し、料理の道へ進んだ。帝国ホテルなどで働いた後、フランスで6年間修業。「1日18時間は働いた」という日々だったが、「技術が身に付く実感があり、けっして苦にならなかった」という。

昭和52年に帰国。六本木のレストランのシェフになると、重くこってりとしたイメージが強かった日本のフレンチに、軽く繊細な料理法「ヌーベル・キュイジーヌ」の風を吹き込んだ。「僕が大切にしているのは『過去に学び、現在に生きて、未来を読む』ということ」。過去の蓄積を踏まえ、時代の先を見据えた料理を磨くのが哲学だ。

61年にセゾングループの堤清二氏の意向で「ホテル西洋銀座」総料理長に就くと、「リストランテ・アトーレ」開店を主導し、イタリアンの日本定着に貢献。多くの料理人も指導した。

平成13年から東京ドームホテルで指揮を執る。名誉総料理長になった今も、世界中から料理書を取り寄せ、研鑽(けんさん)を忘れない。

日本の料理界に「高いレベルの若い料理人が出てきている。面白いね」と期待を寄せながら、自身も厨房(ちゅうぼう)に立つ。

「人間は年齢じゃない。好奇心と情熱を持って仕事をするのが大事だ。それがなくなったら料理人を辞めるつもりです」。まだまだ戦列は離れない。(内田優作)