イランとサウジ、対立深刻化 レバノン閣僚発言に飛び火

レバノンのコルダヒ情報相=10月30日、レバノン・ベイルート近郊(ロイター=共同)
レバノンのコルダヒ情報相=10月30日、レバノン・ベイルート近郊(ロイター=共同)

【カイロ=佐藤貴生】中東レバノンの閣僚がイエメン内戦をめぐってイラン寄りの発言をしたとして、サウジアラビアやペルシャ湾岸諸国が駐在するレバノンの大使を国外退去させるなど外交問題に発展している。イスラム教スンニ派のサウジとシーア派のイランは中東で勢力争いを展開しており、双方の対立がレバノンに飛び火した格好だ。

発端は10月下旬、レバノンのテレビ局が放映した同国のコルダヒ情報相の発言。ロイター通信によると、サウジなどが2015年から軍事介入し、親イランの民兵組織フーシ派と戦うイエメン内戦について「無益な戦いだ」とし、フーシ派は「自衛」の戦争を強いられていると述べた。

レバノンのミカティ首相は、コルダヒ氏の発言は閣僚就任前の8月時点のもので、政府の立場を反映したものではないと強調。しかし、サウジは「屈辱的だ」として自国に駐在するレバノン大使を国外退去させ、在レバノンの外交団を呼び戻した。アラブ首長国連邦(UAE)やバーレーン、クウェートなどスンニ派の湾岸諸国も同様の手段を取った。サウジはレバノンからの輸入も全面禁止した。

レバノンでは民兵組織や政党を持つ親イランの「ヒズボラ」が影響力を強めており、「サウジは反撃の機会を狙っていた」(レバノンの30歳の記者)との見方もある。コルダヒ氏は辞任を拒否しており、9月に発足したばかりのミカティ政権は対応に苦慮している。

レバノンは約200人が死亡した昨年8月の大規模爆発以降、政治の空転が続き、停電やガソリン不足が深刻化。国民の半数以上が貧困下で暮らしている。10月中旬には首都ベイルート市街で宗派対立による銃撃戦も発生しており、政情不安に拍車がかかる恐れもある。