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日大の田中英寿理事長逮捕、脱税の疑い 東京地検

一筆多論

ニンジンかもしれない 佐藤好美

世の中に出回る新型コロナウイルスの抗原検査キットをめぐり、化かし合いのようなことが起きている。

厚生労働省が承認した検査キットが薬局で販売されるようになったが、インターネットなどでは引き続き未承認の検査キットが販売されているのだ。

品質が担保されない商品の流通は禁止すればよいのに、と思うのは私だけか?

実際、粗悪品キットの被害は出ている。知人の話では、コロナ感染が生じた職場で今夏、未承認の抗原検査キットを使った。

結果は陽性者ゼロ。一安心していたら、その後、パラパラと発熱者が出てPCR検査でコロナ陽性だと分かった。再度、検査キットで調べたが、やっぱり陰性。結局、その検査キットからは一人も陽性判定は出なかったという。

看過できない。販売を規制できないのかと厚労省に聞いたら、「医薬品医療機器法の枠に入らない」との苦渋の回答だった。例えばニンジンや鉛筆を「売ってはいけない」と言うようなものらしい。

おっと。ニンジンでも「これでコロナの診断ができる」「感染症にかかっているか否かが分かる」などと書いてあれば同法で取り締まれる。ニンジンはおいしく食べるのが基本だ。

京都府では9月末、ウェブ上で未承認の中国製検査キットを「感染の有無判定」などと宣伝し販売していた男ら2人が同法違反の疑いで逮捕された。精度は承認品の264分の1(数値が分かるところがオモシロイ)。

承認品でも陽性を陰性と間違える「偽陰性」をなくせないことが課題だが、販売されていた未承認品からは、ほぼ陰性結果しか出なかったという。

容疑者は、「世の役に立つと思って売った」と言っているそうだが、法律に触れたので逮捕できたケース。氷山の一角だと思う。

検査キットを規制するもう一つの要素に「用途が分からないもの」というのがある。誤認させるからだ。

だからだろう。未承認品には「研究用」と記されている。

そんな商品を売る1社に聞いてみると、「判定できるのはコロナの抗原があるかどうか。診断には使えないと書いており、法律家のチェックも受けている」との回答だった。

抗原の有無が分かれば、コロナに感染したかどうかが分かると思い込む消費者の先入観に付け込んでいる。法律のすり抜け方を知っている業者の方がタチが悪いのではないか。

消費者庁は注意喚起のため、白抜き文字の目立つチラシを作った。「新型コロナウイルスの抗原検査キットは『体外診断用医薬品』を選んでください!」。びっくりマークがお役所らしくなくていい。

「体外診断用医薬品」の表記は、厚労省が承認した製品であることを示す。

厚労省は、承認品が出た以上、悪貨が駆逐されると考えているようだが、そううまくいくのか。特に、今は承認品が薬局で2千円程度で手に入るため、未承認品のバーゲンセールが行われている。

とりあえず冬に向け、新型コロナの検査キットを買う場合は、「体外診断用医薬品」の表記のある商品を買うしかないということなのか。表記のないものは、実はニンジンかもしれないので。(論説委員)