安倍氏に派閥復帰待望論 自民派閥に変化の兆し

聴衆とグータッチを交わす安倍晋三元首相=10月21日午後、横浜市のJR桜木町駅前(矢島康弘撮影)
聴衆とグータッチを交わす安倍晋三元首相=10月21日午後、横浜市のJR桜木町駅前(矢島康弘撮影)

衆院選を経て、自民党の7派閥にも変化の兆しが出てきた。全ての派が人数を減らしたため、新人の勧誘を急ぐほか、細田派(清和政策研究会)や旧竹下派(平成研究会)は代替わりの可能性がある。領袖の石原伸晃元幹事長が落選した石原派(近未来政治研究会)は存続が危ぶまれる事態に陥った。

党最大勢力を誇る細田派には、安倍晋三元首相の早期の復帰を期待する声がある。自民は次の衆院議長に同派会長の細田博之元幹事長を推す方向で、衆院議長は党を離れる慣例があるため、派内には安倍氏の会長就任を推す意見が強い。高市早苗政調会長も安倍氏の復帰を望んでいるという。

旧竹下派は、会長代行の茂木敏充外相が幹事長に内定したことで、故・竹下亘元総務会長の後任の会長となる流れが強まった。先の自民の総裁選では岸田文雄首相への支持で派をまとめて勝利に貢献し、自らの幹事長職や閣僚ポストを確保した手腕に評価が高まっている。ある若手は「幹事長派閥なので新人を勧誘しやすい」と茂木氏に期待を込めた。

首相が率いる岸田派(宏池会)は引退を含め衆院選の公示前から5人減となったが、他の主要派閥と比べ減り幅は少なく、面目を保った。総裁は任期中派閥を抜けるのが一般的だが、麻生太郎副総裁は総裁在任時も派閥に所属していた。首相もこれにならい、派に籍を置く考えだ。総裁派閥としての利点を生かして勢力拡大を図る。

麻生派(志公会)は党内第2派閥に復帰したが、甘利明幹事長が選挙区で敗れて辞意を固めたことが痛手となった。

一方、石原派と石破派(水月会)は苦境にある。

石原派は、石原氏が落選した衝撃が大きい。ベテランは森山裕前国対委員長と坂本哲志前1億総活躍担当相のみで、ほかは当選3~5回生の中堅や若手が中心だ。

さらに、同派の前身である山崎派を創設した山崎拓元副総裁は、今回の衆院選で立憲民主党の辻元清美氏を応援し、自民大阪府連が山崎氏の除名を求める事態に発展した。世耕弘成参院幹事長は2日の記者会見で「処分は免れない。明確な反党行為だ」と批判。袋小路に陥る状況に、石原派の関係者は「他派との合流も選択肢の一つだ」と頭を抱える。

石破派では、番頭格の鴨下一郎元環境相が引退した。9月には事務総長経験者の古川禎久法相が退会し、さらに退会を検討しているベテランもいる。派を率いる石破茂元幹事長の求心力低下が止まらない。派の関係者は「石破氏を首相にする目的ではなく、勉強会のような形で存続すればよい」と話した。

二階派(志帥会)は減り幅が10人と党内で最大となった。会長を務める二階俊博前幹事長は党幹部から外れた。派をどう統率するか、難しい局面に立たされている。(沢田大典)