東電原発事故控訴審、旧経営陣が棄却求める

東京高裁に入る東京電力の武黒一郎元副社長=2日午後(代表撮影)
東京高裁に入る東京電力の武黒一郎元副社長=2日午後(代表撮影)

東京電力福島第1原発事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された同社元会長、勝俣恒久被告(81)ら旧経営陣3被告の控訴審初公判が2日、東京高裁(細田啓介裁判長)で開かれた。検察官役の指定弁護士は、津波の予見可能性を否定した1審判決について「重大な誤りがある」と主張し、第1原発の現場検証などの証拠調べを請求。3被告側は控訴棄却を求めた。来年2月9日の次回公判で、高裁が証拠の採否を決定する見通し。

最大の争点は1審同様、大津波の襲来を3被告が具体的に予見できたかどうか。令和元年9月の1審東京地裁判決は「原発を停止する義務を課すほどの津波の予見可能性はなかった」と認定、全員に無罪(求刑禁錮5年)を言い渡した。

この日の公判には、いずれも元副社長の武黒一郎被告(75)と武藤栄被告(71)が出廷。勝俣被告は、体調不良を理由に姿を見せなかった。

起訴状によると、3被告は巨大津波が発生し、原発事故が起きる恐れがあるとの報告を受けながら対策を怠り、平成23年3月の事故で、双葉病院(福島県大熊町)の入院患者ら計44人を死亡させたなどとしている。東京地検は2度にわたり不起訴処分としたが、市民で構成する検察審査会の判断に基づき28年2月に強制起訴された。

閉廷後に会見した「福島原発刑事訴訟支援団」の海渡(かいど)雄一弁護士は「控訴審の最大のポイントは、裁判官が現地に行くかどうか。現地に行けば、津波対策の必要性が分かると思う」と強調した。