台湾の蔡英文総統が10月28日に放映された米CNNのインタビューで台湾に少人数の米軍が駐留し、台湾軍と共同訓練していると認めたことが大きな波紋を広げている。1979年に米国と台湾が断交して以降、安全保障面で台湾を支援し続けている米国には「軍人を台湾に駐留させているのでは」との噂が以前からあったが、双方の当局者が公式に認めたことはなかった。
中国政府が95年に発表した「台湾政策8項目の提案」の中には「外国勢力が中国の国家統一に干渉すれば、中国は武力を行使する」という趣旨の項目があった。米軍の台湾駐留には中国のいわば「レッドライン」(越えてはならない一線)を越える意味があり、台湾侵攻の口実にされかねないと、米台双方は沈黙し続けてきた経緯があった。
しかし最近、中国は台湾に対して軍事的圧力を強化しており、10月1日から4日までに延べ149機の中国軍機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に進入し、挑発行為を繰り返した。米国のみならず、英国やカナダも台湾海峡付近に軍艦を派遣するなど、国際社会では「台湾有事」への関心が高まっている。