首相、脱炭素化支援を強調 欧州の懸念払拭へ

COP26首脳級会合が外交デビューの場となった岸田文雄首相=2日、英北部グラスゴー(AP)
COP26首脳級会合が外交デビューの場となった岸田文雄首相=2日、英北部グラスゴー(AP)

岸田文雄首相の外交デビューの場は、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)首脳級会合となった。衆院選では勝敗ラインをクリアしたが、来夏には浮沈のかかる参院選も控える。首相は外相経験を生かして各国首脳との関係構築もアピールし、政権浮揚につなげたい考えだ。

「気候変動という人類共通の課題に、日本は総力を挙げて取り組んでいく」

首相は2日、首脳級会合でこう述べ、アジアなどの脱炭素化支援に貢献する考えを強調した。

首脳級会合への出席は、衆院選の開票直後というタイミングだったため、政府は選挙結果次第で出席の取りやめも検討していた。しかし、自民党は攻防ラインとされた単独過半数(233議席)を超え、安定した国会運営が可能な絶対安定多数(261議席)も獲得。首相は存在感を高めた上でCOP26出席も勝ち取ったといえる。

首相は首脳級会合で、30年度の温室効果ガスの国別削減目標(NDC)について、「13年度比46%減」を打ち出した。従来の「同比26%減」から大きく引き上げた菅義偉(すが・よしひで)前首相の方針を踏襲した。

菅氏の辞任後、10月に就任した首相は、温暖化対策を重視する欧州諸国にとって警戒の対象だった。

経済界の意向を重視する岸田政権では、性急な脱炭素化が自動車や鉄鋼などの産業の国外流出を招く恐れがあるとして目標を見直す可能性があるとみられたからだ。日本に対し、石炭火力発電の30年までの全廃を求める声もくすぶる。

だが、岸田内閣は10月22日、30年度の電源構成で再生可能エネルギー比率を現状の2倍に拡大するエネルギー基本計画を閣議決定し、「46%減」目標を裏付けた形となる。

首相はCOP26の首脳級会合で、アジアの火力発電に関し、化石燃料から水素やアンモニアを燃料とする「ゼロエミッション火力」への転換を支援するとした。環境省幹部は「途上国の排出量を下げるのが気候変動問題の本質だ。外相経験の長い首相は途上国の事情に感受性が高いだろう」と話す。(奥原慎平)